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55. 上弦ノ鬼 集結 ページ8

「…泣イテルヨ?」


Aの右目から、一筋の涙が流れていた。それに気づいたAはただ、笑う。


『…鬼である自分自身を、受け入れる…か』


まさか、そう言われるとは思いもしなかった。迷いを見抜かれていたのだろう、誰も知らない本心を。だけど時間がないのは事実で、あの時のように鬼に染まってしまってはいけない。理性を失い、本能のまま手を下してはいけない。
己と向き合う機会が得られたという事、それはとてもありがたい時間だと思った。


『…さぁ、戻ろう』


涙を拭い、気持ちを切り替えるとAは刀を鞘に納めて歩き出した。


「(迷イガ消エタ…、Aハモウ―…)」


壱縷はAの横顔を複雑な表情で見つめていた。



――…

階段、床、天井、全てが入り組み一度迷い込めば出られなくなるような、異次元の場所。
それが無惨の根城、無限城だ。

そのような場所に、猗窩座は呼びだされていた。
そしてそんな猗窩座の目の前で、琵琶をベンベンと鳴らすのが鳴女。すると今度は壺が現れ、中から異形の鬼が現れる。上弦の伍、玉壺である。


「これはこれは猗窩座様!!いやはやお元気そうで何より。90年ぶりでございましょうかな?私はもしや貴方がやられたのかと心が躍った―…ゴホンゴホン!心配で胸が苦しゅうございました。ヒョヒョッ!」


すると階段部分には上弦の肆、半天狗の姿が。


「恐ろしい恐ろしい。しばらく会わぬ内に玉壺は数も数えられなくなっておる。呼ばれたのは113年ぶりじゃ。割り切れぬ数字、不吉な丁、奇数!!怖しい、怖しい…」

「琵琶女。無惨様はいらっしゃらないのか」

「まだお見えではありません」

「なら上弦ノ壱はどこだ?まさかやられたわけじゃないだろうな」


すると、猗窩座の背後に上弦ノ弐である童磨が現れる。


「おっとおっと。ちょっと待ってくれよ猗窩座殿。俺の心配はしてくれないのかい?俺は皆を凄く心配したんだぜ。大切な仲間だからな。だぁれも欠けてほしくないんだ、俺は」


が、猗窩座は「腕をどかせ」と、肩におかれた手ごと童磨を殴る。


「うーん、いい拳だ。前より少し強くなったかな?猗窩座殿」

「上弦の壱様は最初にお呼びしました。ずっとそこに居らっしゃいますよ」


その言葉通り、御簾の上がった先には上弦の壱である黒死牟がいた。


「私は…、ここにいる…、無惨様のお見えだ」


その瞬間、天井に誰もいなかったはずのところに、無惨が姿を現した。

56. 厄介なもの→←54. 「鬼」である自分自身



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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年5月26日 0時

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