77. 他人事 ページ30
『俺の姿の真似をして、そのまま鬼に食われてしまえばいいのさ』
サラッと残虐なことを口にするAに、後輩隊士は度肝を抜かれている。
『煉獄は何も言わないのか？』
そんな、後輩隊士がよそ者の格好をされては、扱いに困るだろう。
｢煉獄も戸惑っていたぞ。咎めようとしたみたいだが、あの女に言いくるめられていた｣
『…すげぇ』
最早他人事、と言わんばかりの反応に、呆気にとられる4人。
｢どうすんだよ？｣
『ん？面倒事は嫌いなので、放置。煉獄がいる限り、鬼に食われることはないと思うけど。それより―…』
｢……ん？｣
『年下の奴に説教される女って、何だろうね？』
ごもっともな発言に、甘露寺と伊黒は確かに…、と同意する。しかし、後輩隊士はAの実年齢を知らないため、かなり驚いた表情をしていた。
｢…え？アンタ、いくつなの？｣
『16』
｢｢！！｣｣
どうやら後輩隊士達より、年下だったようで茫然としている。それでいて、自分達より背が高いもんだから…、容姿だけでも勝てる要素がない。
『…さて、俺達はこれから任務なので。また』
｢じゃあねー！気を付けてねー！！｣
手を振る甘露寺に、軽く笑みを浮かべると、井草を連れて歩き出した。
―夜―
｢ヒッヒッヒッ！！美味そうだなぁ！！鬼狩りの肉だ！！｣
｢鬼狩りを殺す時の快感ったらねぇよなぁ！！｣
鬼狩りに来たのだが、どうやら無数の鬼に四方八方囲まれてしまったらしい。
井草はAの背中で、ガタガタ震えている。だが、言いつけ通り、刀をしっかり握りしめて。
『…井草、自分の力だけでやってみろ』
｢…へっ！？｣
『危ないと思ったら、叫べ。助ける』
｢…は、はいぃ…｣
Aは鬼どもに近づく。
｢んぁ？何だぁ？大人しく殺され―…｣
鬼の頸は胴体から切り離され、地面に転がり落ちる。
Aは日輪刀に付いた血を振り払いながら、
『背中を預けている奴がいるから、無駄話する暇はねぇ。さっさと殺されろ』
｢このクソガキがぁああ！！｣
鬼が一斉に襲い掛かってくる。
『血の呼吸、壱ノ型、血飛沫！！』
二刀を操り複数の鬼の頸を一気に片付ける。が、すぐに井草の叫び声が聞こえた。
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作者名：Haru yama | 作成日時：2021年5月26日 0時
