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66. 3日目・他人の評価 ページ19

基本的にあまり自分から語ることはしないAだが、井草は何故か安心感があり、無言の間も気まずい感じにはならなかった。

途中、大きな石を背負わされている同期の姿と、それを追い回す不死川を目撃するわ、甘露寺に迫りすぎて伊黒に殴られているふくよかな男もいた。
それを見ていた井草は、恐らく柱の中で最も常識人の方に指導していただいているのだと、自覚した。


おしゃれな和風の店が軒並み並んでいる通りへと足を踏み入れる。
普段はまず踏み入れることのないが、隊士を連れている以上仕方ない。すると、


「あら、Aさん。どちらに?」


そこには着物を着て、受け持った隊士を連れて歩いている胡蝶の姿があった。


『彼と甘味処へ。しのぶは?』

「彼女が、たまには息抜きに買い物をしたいというので…」


そういって胡蝶は後輩隊士を見る。後輩隊士はAの姿を見るや否や、好みど真ん中だったらしい。一瞬でAの前に立ち、


「こんにちは!緋威羅木さん!隊士の間で、性別不詳だって噂になっているんですよ!!顔も背丈も申し分ないですし、端正な顔立ちで…!どちらであっても、私、緋威羅木さんが好みで―…」

「はーい。好みを見つけたらすぐ口説くその癖、この一か月で治しますよ―…」

「きゃー!耳引っ張らないでしのぶ様!!」


容赦なく耳を掴まれ、引き離される極太眉毛の少女。


「あ、そうだAさん。甘味処に行くんだったら、冨岡さんを助けてあげてください。女性隊士に無理やり連れて来られたようで、私に助けを求めてきたんですよー。無視しましたけど」

『えー、助けろよ』

「嫌ですよー。面白いので」


そう言って笑いながら、後輩隊士の耳を引っ張りつつも颯爽と去っていった。


『…え?何、俺そんなに有名なの?』

「え、あ…はい」


隊士達の噂なんて、普段全くと言っていいほど聞くことがないが、どうやら井草の話によると、こうだ。


「…身長高いし、他の男性の柱の方々に比べて華奢な体型にもかかわらず、顔立ちは女性とも男性とも捉えられる中性的。圧倒的な強さを持ち、個性が強い柱の中で最も常識人…。と言う感じです」


呆気にとられるA。まぁ他人の評価なんて、今もこれからも気にすることはないが、そういうよくわからない噂によって、変な方向に走らないか心配になる。
その話をしながら、しばらく歩いていると…。

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作者名:Haru yama | 作成日時:2021年5月26日 0時

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