48. 療養 ページ1
――
蝶屋敷にて、俺達は傷の手当てをしてもらった後、任務などに赴いていた。
Aさんは、特別医療室に運ばれてそのままだ。1週間たった今でも目覚める様子はない。
あの時、禰豆子を庇ってくれた時の礼も未だに言えていないのに。Aさんの傷は相当酷いものだった。並の人間であれば、死んだっておかしくない。
右目の損傷や左腕の骨折だけでなく、服の下は相当傷だらけだったようで、状態を見たしのぶさんですら、絶句した様子だった。
｢あ！善逸！！｣
蝶屋敷の庭を歩いていると、門から入ってくる善逸を見かけたので声をかける。
善逸の身体は擦り傷だらけだった。
｢善逸！大丈夫か！任務だったのか？｣
｢たんじろぉ〜…もう身体中が痛いよぉ〜｣
｢すごいじゃないか！善逸が文句も言わずに任務に行くなんて！｣
｢あんた俺をバカにしていらっしゃる！？俺だってやる時ゃやるんだよ！！｣
｢そうだな！善逸はすごい奴だ！！…ん？善逸、あれ…｣
ふと蝶屋敷内にある一本の松の木に、白鴉が止まっていることに気が付く。
｢あれ、Aさんの鎹鴉じゃない？｣
白鴉は俺達の方をジッと見ている。
｢おーい！！｣
手を振って呼びかけてみるも、無反応。ただ首を傾げているだけ。
｢主以外とは馴れ合いませんってか？ご苦労なこったね〜｣
と言っている傍から、善逸の黄色い頭目掛けて急降下する白鴉。
｢あ！善逸、あぶ―…｣
｢いてぇ！！｣
見事なくらいに、白鴉は善逸の頭上すれすれを飛んだ。だが、どうやら白鴉の足が善逸の頭に当たったらしく、呻く。
｢何だよ！全くもう！！｣
｢…Aさん、目を覚まさないから…。心配なんだと思うよ｣
すると、ドタドタと音がしたと思うと、屋敷の角からなほちゃんが現れた。
｢なほちゃん？そんなに慌ててどうしたの？｣
｢え、え、｣
｢ん？｣
｢血柱様がっ！！目を覚まされました！！｣
｢本当！？｣
それは、俺達がずっと求めていた言葉だ。
俺と善逸は特別医療室へと急いだ。
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作者名：Haru yama | 作成日時：2021年5月26日 0時
