水の都。 ページ46
「久しぶりだな……こうやってお前と二人で話すのは」
船から少し離れた岩場に座って私は言った。
ルフィは無言のままその隣に座る。
彼は数十秒の間、ずっと沈む陽を眺めていたが、
やがて、自分を問いただすかのように喋り始めた。
「メリー号、さ」
言葉が切れる。
私は黙って彼の震える手を見ていた。
「もう、俺らと一緒に航海できないって」
次の島までもたないって。
彼の言葉は小々波の音に消えいりそうだ。
麦わら帽子に隠れた顔は一体どんな表情なのだろうか。
「そっか」
私は何も言えなかった。
何も言う資格がないのだ。
私は彼の船のクルーじゃないから。
「俺、どうしたらいいんだよ……！
まだメリーと旅してェよ……！！だってまだ」
「ルフィ」
衝動だった。
気がついたら彼の背に手を回していた。
「お前は……そうやっていつまでも留まってるつもりか。
メリーを直してくれ、そう喚いてここでぐずぐずしているのか。
私の知ってるルフィはそんなんじゃない。
お前は海賊王になる男、そうなんだろ？」
私の肩は濡れていた。
それでも構わない、私は続けた。
「メリーが知って呆れるぞ。それじゃいつまでも、お前は泣き虫のままだってな。
その左の頬にある傷はなんだ？
お前が海賊になるという覚悟を決めて切った証だ！
覚悟を決めろ……それが、"船長"の役目だろ！！」
辛いよな、泣きたいよな。
泣けばいいんだよ、でも戸惑っちゃダメなんだ。
それほど、お前が背負うものは重いんだよ。
だから、
「負けるな、ルフィ」
「……ッおう！」
顔は見えない。
けれども今の彼はきっと微笑んでいるんだろう。
涙でぐしゃぐしゃの顔を夕日に照らされながら。
「ありがとな、A」
ぎゅ、っと私を抱きしめ返す彼の手はとても暖かかった。
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たにやん(プロフ) - フェイロさん» ありがとうございます！ (2016年5月2日 1時) (
レス) id: 5939541d69 (このIDを非表示/違反報告)
フェイロ - 更新p(´∇｀)q ﾌｧｲﾄ~♪ (2016年4月30日 23時) (レス) id: ba5caa7631 (このIDを非表示/違反報告)
たにやん(プロフ) - 三日月βさん» はい、ありがとうございます！こちらも私なりに出来る限り更新頑張りますね！ (2016年3月9日 7時) (レス) id: 132106bcfc (このIDを非表示/違反報告)
三日月β(プロフ) - たにやんさん» そう言って頂けて嬉しいです。こちらこそありがとうございました。更新、無理せず頑張ってくださいね！ (2016年3月8日 21時) (レス) id: 3928a59327 (このIDを非表示/違反報告)
たにやん(プロフ) - 三日月βさん» ありがとうございます！！いや、すっっごく可愛いです！！黒髪黒目だけなのは読者の想像にお任せするという意味なので、全然問題ないです！イラスト提供ありがとうございました！ (2016年3月8日 21時) (レス) id: 132106bcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たにやん | 作成日時：2015年8月7日 13時
