退出ゲーム 15 ページ30
ステージのホワイトボードにまた新たな設定が加わった。
・最後の挨拶が終わったら、先生を胴上げ
千夏が転機を利かせる。
千夏「藤間さんっ、胴上げのときに先生に想いをぶつけちゃいなさいよ？」
藤間さんがはっと顔を上げ、また伏せる。
藤「みんな見ているし…恥ずかしい」
ハ「心配はいらないよ」
ハルタが藤間さんの前で屈み、安心させるように肩に手を乗せる。
――ちくっ。
あれ、今なんか胸が痛かった？
ハ「胴上げのとき、そこにいる名越のアイデアで、先生との思い出の音楽発表会の演奏――第九を放送室から流す予定になったんだ。
な？名越」
名「…ああ、そんなこといったかな」
名越が合わせてくれる。
千夏「そうよ！わたしが放送室に行ってボリウムを上げてくる。
だから藤間さんは胴上げのとき、先生の耳元ではっきり聞こえる声で想いをぶつけちゃって。
大丈夫。たとえ他のクラスから苦情がきても、わたしが放送室に籠城して、誰にも藤間さんの邪魔はさせないから！」
ハ「チカちゃん、行ってきてくれるのかい？」
千夏「うん。行ってくるね！」
拍手がどっと湧いた。
千夏が急いでステージ端まで走り、階段に足を伸ばした。
けど、さっきから名越と藤間さんが静かすぎる。
名「ああ、そのことだが」
と名越が千夏をとめる。
ほら、きた。
名越は制服のポケットから、体育の授業で先生が使うようなホイッスルを取り出した。
名「…実はその演奏を、急遽この『ホイッスル』ですることに決まったんだ」
観客がざわめいた。
ハ「どうやって一個のホイッスルで演奏するんだ！それにそれは楽器じゃないし、音程がつけられないだろう？」
ハルタが噛み付いた。
するとさっきまで泣きじゃくっていた藤間さんが、静かにポケットからもう一個のホイッスルを取り出した。
観客が爆笑した。
さすが、演劇部の看板女優…
名越がホイッスルを口にくわえて叫ぶ。
名「ホイッスルの演奏だ！」
なんとなく第九のように聞こえる演奏を二人で交互にピーッ、ポーッと吹き始めた。
観客の笑いはとまらない。
成島さんや草壁先生まで笑いをこらえている。
わたしはうるさいと思うんだけど。
ハ「演奏ならぬ、連吹か。ある意味感動的だね、チカちゃん」
ハルタが膝を折り、千夏もへたりと座り込む。
その時ジリリリリと目覚まし時計のようなベルが鳴った。
終了時間の十分だった。
客席から大きな拍手が湧いた。
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のの - 夜月さん» ありがとうございます！ (2016年4月7日 15時) (
レス) id: dd3ac278ec (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - fruitさん» 才能だなんて！そんな！光栄です！毎回、コメントありがとうございます！これからもお願いします！ (2016年3月17日 0時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
fruit - オリジナル・・・とっても面白いです！ワクワクしてます！すごいですね〜(*´∀｀)才能なんでしょうね〜(*´∀｀)羨ましいです！頑張ってください！ (2016年3月16日 23時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - あいさん» オリジナルは面白いかとても不安だったのですが、そう言ってもらえて光栄です！これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - ののさん» ありがとうございます！ですが、ゼロからのお話なので更新のペースが遅くなるかもしれません…まことに申し訳ありません…ですが！よろしくお願いします (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2016年2月12日 18時
