退出ゲーム 6 ページ20
針のむしろみたいな沈黙を払ってくれたのはハルタだった。
ハ「ホルンだって恋をしている。
高音域の旋律を担当するトランペットやサックスが上手くいかないと、肉声を担当するオーボエやホルンは活きないんだ。
フルートだって、サックスとソリをする曲が 多いからね。
ぼくらの吹奏楽部の抱える問題点もそこ」
名「つまりオーボエとホルンとフルートのラブコールか」
名越がちらりと成島さんとわたしを見る。
まぁ、そういうことにしてやる。
名「まず最初に言っておくが、俺は高校に入学してすぐマレンに吹奏楽部の入部を勧めたんだぜ」
ハ「そのへんをもう少し詳しく」
名「あいつがおかしくなったのは、中学の卒業式が終わって春休みに入ってからだ。
ネガとポジのような変わりようだったな。
普段持ち歩いていたサックスも見なくなった」
成「だからなにがあったのよ？」
名「さあな。俺はマレンの両親に電話で呼ばれて何度も家に行っている。
『七面鳥の丸焼きを食べたくないか、ナゴエ？』とか、『でかいハンバーグを作ったんだが頬張りたくないか、ナゴエ？』ってな。
そういう大人は嫌いじゃない。両親は心配している。マレンはなにも言わない。
俺にもさっぱりわからない」
成島さんが大きなため息をつき、名越はつづける。
名「マレンを演劇部に誘ったのは俺だ。
あいつは背が高いから、帰宅部になってもバレーボール部のしつこい勧誘を受けていたんだ」
千夏「わかるわかる」
千夏がドーナツをもぐもぐさせながら言った。
千夏「背の高い人なら初心者でも喜んでシゴいて育てるからね」
名「そうだ。俺はマレンの親友であると同時に、恩人でもある」
ハ「へえ」
ハルタが疑わしそうに声を漏らす。
ハ「ぼくはてっきりマレンを流行りのアジア系二枚目俳優みたいに仕立てあげて、安易な集客力をあてにする腹づもりだと思ったよ」
「あっはは！」
ハルタの言葉に名越が動揺した。
図星だ、この顔は。
「やる気がないマレンの扱いに困っているんでしょ？」
名「お、俺は構わないぜ」
「それじゃあ他の演劇部の部員にしめしがつかない」
名越は黙った。
ハ「頼むよ」
ハルタがテーブルの上で頭を下げた。
ハ「もう一度、高校に入学した時と同じようにマレンの背中を吹奏楽部に押してやってくれないかな。
サックスは吹かなくたっていい。今の名越の代わりになれるようぼくたちは努める」
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のの - 夜月さん» ありがとうございます！ (2016年4月7日 15時) (
レス) id: dd3ac278ec (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - fruitさん» 才能だなんて！そんな！光栄です！毎回、コメントありがとうございます！これからもお願いします！ (2016年3月17日 0時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
fruit - オリジナル・・・とっても面白いです！ワクワクしてます！すごいですね〜(*´∀｀)才能なんでしょうね〜(*´∀｀)羨ましいです！頑張ってください！ (2016年3月16日 23時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - あいさん» オリジナルは面白いかとても不安だったのですが、そう言ってもらえて光栄です！これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - ののさん» ありがとうございます！ですが、ゼロからのお話なので更新のペースが遅くなるかもしれません…まことに申し訳ありません…ですが！よろしくお願いします (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2016年2月12日 18時
