クロスキューブ 32 ページ11
「成島さん、解決したところで悪いんだけどわたしの話聞いてくれる？」
わたしが成島さんに話しかけるとは思ってなかったようでハルタや千夏、西川さん、草壁先生は驚いている。
「わたしがハルタの立場だったらわたしもハルタと同じことをしてた。
だから、ハルタのことは許してあげて？」
成島さんは顔を上げてこくりと頷いてくれた。
「．．．わたしね、成島さんと同じなんだ。」
成「え？」
「．．．わたしも大切な人を亡くしてる。
中一の時にお母さんがね、末期ガンにかかっちゃって．．．治すすべもなかった。
そして、中二の時にわたしが普門館で演奏してる時にお母さんは亡くなった。
誰にも見送られることなく一人で眠ってしまった。家族は、普門館に来ていたから．．．」
ハルタたちは床に目を伏せていた。
「でもね、わたしは成島さんみたいに後悔はしなかった。悲しかったけど、頑張れた。
お母さんがわたしに遺した最期の言葉は
『私の願いは、とにかくAが前を向いて進むこと。下を向いてちゃだめ。
そして、自分のしたいことをしなさい。
私はいつでもAの味方だからね』
この言葉があったから下を向かずに前を向いて進めれた。
だから、フルートを続けてる」
わたしの過去に、成島さんはおさまっていた涙が溢れた。
千夏も鼻をすすっていて、ハルタも唇を噛んでいた。
「びっくりしたよ。
同じ境遇の人がこんなに身近にいるなんて。
．．．成島さん、ひどい言葉かけてごめんなさい。
でも、これだけは言わせて。
とにかく前を向いて進むの。下を向いてちゃだめ。
わたしは成島さんの味方だよ。
だから、頑張ろう？」
成「．．．うんっ」
千夏「．．．成島さん、だいじょうぶかな」
ハ「西川さんがついているから大丈夫だよ」
わたしと千夏とハルタは草壁先生と一緒に音楽室に向かっていた。
スポーツバッグを抱えるハルタの両頬には、痛々しいもみじの痕がくっきり残されている。
ハ「ジンクホワイトだよ」
ハルタが言った。
ハ「ジンクホワイトの上に油性塗料で重ね塗りをすると、剥離を起こすんだ」
油絵の具の「白」は顔料の違いで数種類ある。
ジンクホワイトはそのうちの一つだ。
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のの - 夜月さん» ありがとうございます！ (2016年4月7日 15時) (
レス) id: dd3ac278ec (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - fruitさん» 才能だなんて！そんな！光栄です！毎回、コメントありがとうございます！これからもお願いします！ (2016年3月17日 0時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
fruit - オリジナル・・・とっても面白いです！ワクワクしてます！すごいですね〜(*´∀｀)才能なんでしょうね〜(*´∀｀)羨ましいです！頑張ってください！ (2016年3月16日 23時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - あいさん» オリジナルは面白いかとても不安だったのですが、そう言ってもらえて光栄です！これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - ののさん» ありがとうございます！ですが、ゼロからのお話なので更新のペースが遅くなるかもしれません…まことに申し訳ありません…ですが！よろしくお願いします (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2016年2月12日 18時
