クロスキューブ 23 ページ1
その夜――――
キューブを分解してもどこにもサインはなかった。
聡くんがサインを書いてないということは絶対にないはず。
あのキューブは聡くんの自作なんだから。
だとしたら、サインを書ける場所は白色の下以外に考えられない。
どうやったらあの白を剥がせる？
『油絵の世界なら白にもいろいろ種類があるんですって。シルバーホワイト、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、パーマネントホワイト』――――
西川さんの言葉を思い出す。
きっと、油絵の具がキーワード。
わたしは頭を回転させ、一生懸命考えた。
！！
わたしは出た一つの答えに満足した。
きっと、これだろうと。
・
・
四日目。木曜日。再びハルタの挑戦。
――場面は冒頭に戻る。
放課後、ハルタは中庭から正門につづく通路のベンチに座っていた。
手袋をはめ、白い息を吐きながら黙々と白いキューブをまわしている。
時々下校途中の生徒が「頑張れよ」と声をかけてくれる。
「まだやってるのか」と呆れる声もあった。
その度にハルタは力なく笑み返し、そもそも完成形があるのかさえ分からない白いキューブに虚ろな目を戻す。
わたしと千夏と西川さんは離れて見守っていた。
わたしは昨日そうであろうという答えを出したけど、ハルタには言っていない。
ハルタはきっと自分の力で解きたいと思ってるはず。
期限は明日だ。
ハルタが表情を歪めた。
あんな辛そうな顔をするのを、初めて見た。
西川さんもだいぶ無口になっている。
もう、ハルタに言おうか。
その時だった。
背後から近づく人の気配があった。
「ふうん。噂は本当のようだね」
ゆったりとした口調の声が響いた。
え？まさか．．．
千夏も、辛そうな顔をしていたハルタも一気に明るい表情になった。
振り向くと、ダークグレーのスーツに身を包んだ先生が鞄を下げて立っていた。
黒縁眼鏡の位置を直してハルタを眺めている。
草「出張が早く終わったんでね、帰ってきたよ」
千夏「先生．．．」
草「ただいま」
わたしたち四人は学校の屋上で、茜色がかかってきた陽を浴びてコンクリートブロックに並んで腰掛けていた。
ハルタはさっきから緊張してかたくなっている。
校舎に通じる鉄製の扉が開き、草壁先生がやってきた。
草「待たせて悪かった」
草壁先生は抱えていた温かい缶コーヒーを手渡してくれた。
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のの - 夜月さん» ありがとうございます！ (2016年4月7日 15時) (
レス) id: dd3ac278ec (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - fruitさん» 才能だなんて！そんな！光栄です！毎回、コメントありがとうございます！これからもお願いします！ (2016年3月17日 0時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
fruit - オリジナル・・・とっても面白いです！ワクワクしてます！すごいですね〜(*´∀｀)才能なんでしょうね〜(*´∀｀)羨ましいです！頑張ってください！ (2016年3月16日 23時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - あいさん» オリジナルは面白いかとても不安だったのですが、そう言ってもらえて光栄です！これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - ののさん» ありがとうございます！ですが、ゼロからのお話なので更新のペースが遅くなるかもしれません…まことに申し訳ありません…ですが！よろしくお願いします (2016年3月13日 17時) (レス) id: ca0edcb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月 | 作成日時：2016年2月12日 18時
