慰め役 ページ5
SIDE A
水道の蛇口を捻って勢いよく水を出す。そのままその中に頭を突っ込む。
昇っていた熱が頭の天辺から冷めて行くのを感じる。
熱くなりすぎた。我を見失った。目を閉じると胸ぐらを掴まれたときの侑さんの顔が浮かぶ。
初めて、チームメイトと衝突した。
「何やってんだろ、僕」
日陰に入って濡れた顔と髪をタオルで乱雑に拭いた後タオルを目の上に被せる。
何も考えたくなくて大きく息を吐き出すのに、閉じた瞼の裏にこびり付いて離れない光景が思い出される。なんでこんな最悪なタイミングで。いや、このタイミングだからこそか。
どれくらいそうしてたかはあまり覚えていない。長かった気もするし、意外と短かった気もする。
差し込んでいた太陽の光が弱まったのを感じてタオルをとると目の前に巨体が見える。
「アランさん……」
「おん。頭は冷えたんか?」
「はい。すみません。アランさんこそ練習は?」
「休憩中や。……でもAは偉いな」
「アランさんって嫌味言えたんですね。そういうタイプじゃないと思ってました」
どこが偉いんだ。抑えられなくなって、触れられたくない部分に触れられて、怒鳴り散らして、周りに迷惑をかけたやつが偉いわけがない。
「本心や!本心!! 双子も同じような内容でよう喧嘩すんねん。せやけどあいつらの場合はそのまま取っ組み合いや。それに比べたら自制できとるAは偉いやろ」
「……比べる対象が侑さんと治さんなんですね」
「俺はあいつらが小学生の頃から知っとるからなぁ。堪忍な」
「それは…なんというかご愁傷様です」
「やめろや! 虚しくなるやろ!!」
僕には無理だ。あの二人と腐れ縁とか耐えられない。
アランさんのこと改めて尊敬するかも。
アランさんと話していると吐き出してばかりだった息が戻ってきたような感覚がする。アランさんは侑さんと治さんのこともこうやってなだめてたのかな。だとしたらアランさん効果ってすごい。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした! (5月14日 23時) (レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜! (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます!めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください! (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りろ | 作成日時:2020年4月30日 21時