目前 ページ39
「脚と腕が死んでる」
宿の方が敷いてくれた布団に倒れ込みながら呟く。
今日は二戦を戦った上に準々決勝はワカとだったせいか身体の悲鳴がいつもより酷い。
試合中は忘れていた疲労がのしかかってくる。この後まだミーティングがあるのに起き上がれそうにない。
でもそれは僕だけじゃないみたいで昨日は騒いでいた侑さんや治さんも今日は大人しい。まぁ、僕みたく倒れ込んではないけど。
「あと、2戦」
「だね」
隣でスマホを触る角名さんが同意する。
「なんかここに来て5戦って思ったときよりも遠く感じます」
「なに弱気なこと言うてんねん」
「せや、何戦だろうと全部勝つだけや」
「ポジティブ思考……バレー馬鹿」
絡んできた侑さんと治さんには聞こえないように悪態をつく。
別に僕は稲荷崎が勝つことを疑っているわけじゃない。やるからには勝つし、僕はそのために最善を尽くす。
でもそれとこの疲労は別の話。
戦えば疲れるし、戦う数が少ないことに越したことはない。僕みたいに体力がない奴は尚更。
技術をあげたいとか、すごいスパイクをあげられるようになりたいっていう気持ちはわかるけど、より沢山試合をしたいっていう気持ちは僕には一生わかんないと思う。
「ミーティングがするから食堂集合やて」
アランさんに声をかけられ、重い身体に鞭を打って起き上がる。
脹脛がじんじんするし、腕あがんない。
自分の体力不足を恨めしく思いながらも食堂に向かう。
あと2つ。全国一位の称号まであと2つ。
やっぱ、遠いなぁ。
まぁ、距離なんて関係ないんだけど。戻ることなんてできるわけもないんだし、進むだけ。
ゴールも見えてる。頼りになるチームメイトもいる。
たどり着けない理由がない。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした! (5月14日 23時) (レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜! (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます!めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください! (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りろ | 作成日時:2020年4月30日 21時