わかってた人 ページ32
真上に上がっては下がってくるボールをまた真上にあげる。
怪我自体はただの捻挫だったけど、スポーツ選手だってことを告げたらクセになるといけないから少しの間足を使うのを禁止された。
ただ、部活に居るとどうしてもレシーブしたくなる。
医者の言いつけを破って練習に参加してるのが見つかってからは黒須監督の横に用意されたいパイプ椅子に座ってるように言われた。
時々黒須監督の話に相槌を打ちながら、かれこれ30分は座ったまま直上レシーブを続けてる。
「よくそんなに保つね」
「上にあげてるだけですから」
「さっきからずっと同じ高さだよね」
「同じようにあげてるんです」
「気持ち悪い」
「侑さんみたいなこと言いますね」
「アレと一緒にはしないで」
角名さんが心底嫌な顔をしたから謝罪を口にしておく。僕も侑さんと一緒にされたら嫌だし。
「俺、中学の頃に白翼と戦ったことあるんだよね。負けたけど」
「……にいは強かったですか？」
「同じ学年で同じポジションにこんな奴が居るんだって驚いた」
「ですよね。にいって気持ち悪いんです。センスと才能の塊のくせに努力を怠らないから確かな実力でしかも冷静だからムラもない」
「努力の度合いは知らないけど上手いと思ったよ」
「……ですよね」
「でも、レシーブと気持ち悪さはAの方が上だと思う」
「……後半の方、褒めてませんよね。でも、僕もセンスと性格の悪さはにいより角名さんの方が上だと思います」
「俺、先輩なんだけど」
「あは。すみません」
腹いせとばかりに横から直上レシーブに入ってきて保っていた高さよりもはるか上にあげられる。さっきよりも威力が増して落ちてきたボールに勢いを殺してさっきの高さに戻す。
「角名さん、黙っててくれてありがとうございます」
「別に。ヒントはあげたけど気づかなかった双子が鈍感だっただけだよ」
侑さんに呼ばれてコートに戻っていく角名さんの背中にお礼を言う。
多分、角名さんは白翼に起こったことを知ってた。僕の正体も。白翼はバレー界から注目されてた選手だし、少し調べれば色々出てくる。
同学年の同じポジションで有名な奴が第一線から消えたら気になるのが普通だし。
それでも何も言わなかった僕の為に色々呑み込んでくれてたんだと思う。
角名さんは侑さんと違って空気も読めるし、気も使えるから尚更。良い先輩だ。性格の悪さ以外は。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした！ (5月14日 23時) (
レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜！ (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます！めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください！ (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りろ | 作成日時：2020年4月30日 21時
