北先輩 ページ31
「侑らを自主練に誘ったんやてな。自分が今怪我しとんのわかっとんか？」
「……怪我と決まったわけじゃないです」
「じゃあ怪我しとるかもしれんにしよか。どのみち、無理してええ理由にはならんな」
「……はい」
「今、病院行かんで本戦で支障きたしたらどうするつもりなん？」
「えっと」
「A個人の話やのうてチームにも迷惑かけるんやで」
「はい。すみません」
コーチの車の中。絶賛、北先輩にお説教を食らってる。ミラー越しにコーチの顔引きつってるのが見える。コーチでも北先輩って怖いんだ。
「でもAが駄々こねるんは珍しいな」
「駄々って……。病院が嫌いなだけで、別に駄々をこねてるわけじゃないです」
病院っていい思い出がない。にいのこともそうだけど、病院って辛いときに行くとこだから余計に負のイメージが強い。
「なんで嫌いなんや？ 病院あるから助かるやろ。ありがたいとこやねんで」
「そうですけど、病院行っていい思い出がないんです」
「そらそうやろ。病院は異常がないと行かんからな」
そうなんだけど、それを言われたら何も言えないんだけど、そういうことじゃない。
「……北先輩、北さんって呼んでもいいですか」
「ええけど」
話をそらそうと咄嗟に別のことを口走る。
少し驚いた顔をする北さん。
最近気になってたことの１つ。他の一年も最近はみんな口を揃えて北さんという。北先輩と呼んでるのは部活内でも僕くらいだ。
「せや、なんで今まで北先輩だったん？」
「北さんって高校生ぽくなかったんで、先輩って言ったらそれっぽくなるかなって思ったんですけど。全然そんなことないですし、逆に一人だけ距離感ある感じになっちゃいましたし」
「なんや。そないな理由か。嫌われてるんかと思うたわ」
「え、それは全然違います！！」
たまに怒るときは苦手なタイプになるけど、尊敬できる先輩だし、北さんという人間はむしろ好きだ。侑さんなんかに比べたら天と地の差が出るくらいには好きだ。
「それはそれでほら病院ついたで」
「あー、行きたくない」
「腹くくり。何もなければそれでええんやから」
半ば引きずられるように病院に足を踏み入れる。僕もパワーがある方じゃないけど北さんのどこにこんな力があるんだろう。背だって同じくらいだし。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした！ (5月14日 23時) (
レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜！ (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます！めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください！ (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りろ | 作成日時：2020年4月30日 21時
