また ページ29
三連休の最終日。今日が終わればIH予選までこんなに濃密な試合はできない。
通算成績はほぼ互角だけど僅かに白鳥沢が上回ってる。
やっぱりワカは強い。ワカだけじゃない。白鳥沢は強い。
「A! いったで!」
「わかってますって」
侑さんの声に反応しながら向かってきたボールをカットする。
落ちる先は侑さんの手の中。ドンピシャ。
昨日の一件で色々吐き出せたおかげで背負うものが軽くなったから今日は身体がよく動く。ドンピシャも今日何本目かわからないくらいにあげられてる。
中学のときの感覚そのもの。
「構えたとこに来よった」
「ええ調子やな」
「ナイスレシーブ」
「A、ナイスや」
「ええぞ。もっとやったれ」
やっぱり先輩方にも目に見えてわかるほど今日の僕は調子がいいみたいだ。
疲れたけど。この体力不足はどんなに調子が良くても変わらない。
「Aクン生意気に育ったネ」
「天童さんに育てられた覚えはありません」
ネットを挟んだ向かい側から声をかけられる。
天童さんだって今日は冴えてるみたいでドシャットの成功率がいつも以上に高い。うちの攻撃をあんなにも止められるブロッカーは全国にだって多くないと思う。
それにいくら僕の調子がいいって言ってもワカのスパイクを完璧にあげられた数は相変わらず少ない。
「重いっつーの!」
暴言を吐きながらカットしたワカのスパイクは少し流れながらも侑さんの手の中に向かっていく。
「ワカ、もう一本」
「あぁ、わかった」
「アホか。今はレシーブ練でもスパイク練でもなくて練習試合や」
「若利君もナチュラルに了承しないでヨ!」
悔しくてワカに申し出ると先輩方からもれなくツッコミをくらう。
結局、ワカのスパイクを完璧にあげられたのは少ないまま終わって紅白戦の通算成績は引き分けた。
「ワカ、IHで会おう」
「あぁ、だが勝つのは白鳥沢だ」
「どうだろうね。僕はあげるだけだから」
「そこは勝つのは稲荷崎やって言うてや!」
「侑さん、うるさいです。だいたい点を決めるのは僕じゃなくて侑さんたちですし」
「そういうことやないねん!チームやろ!」
「……じゃあ、IHではワカのスパイクもっと綺麗にあげるから」
「楽しみにしている」
帰りのバスに乗り込む前にワカと言葉を交わす。相変わらず侑さんは人の会話に首を突っ込んでくるな。わざとなんだろうけど。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした! (5月14日 23時) (レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜! (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます!めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください! (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りろ | 作成日時:2020年4月30日 21時