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サイレンと赤いランプ。
手術中を示す点灯。
白い病室で動かないにい。
駆け込んでくる両親。
監督とチームメイトが次々に顔を出す。
視界がチカチカとして暗い空間にいるよう。
なにも見えない、聞こえない。
あの一瞬だけが目にこびりついて離れない。
多分、話を聞いてにいのお見舞いに来た人は僕にも声をかけてくれてたらしい。何も覚えてないけど。
あの日からにいが目を覚ましたの三日後のこと。
「お兄さんが目を覚ましましたよ。もう命に別状はありません」
「……ッ!!」
看護師さんのその言葉があれから僕の耳に届いた最初の言葉だった。
込み上げてくるものに耐えられなくなって目頭が熱くなる。咳き込むようにやっと流れた涙は妙に熱かった。
「あのッ! にいは選手なんです!バレーボールの、将来、有望な!!」
「それは……」
一番聴きたかったことを言葉にした。うまく言えなかったけど多分伝わったんだと思う。
それと同時に歪められた看護師さんの顔に全てを悟る。
再び視界がチカチカして焦点が定まらない。さっきは安心して出たはずの涙がもう流れてこない。
「選手なんです!! 本当に優秀で、ユースにも選ばれてて!!来年はワカと三人で全国制覇しようって!!そう言ったんですッ!!」
「……」
何も言わない看護師さんのがすべての答えだったんだと思う。
視界が黒く染まってくる。ただただ叫ぶしかできない。
病院の廊下には自分の叫び声がよく響いた。すべてをシャットアウトするために叫び続けて視界が真っ暗になったところで僕の意識は途絶えた。
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蓮夜 - 面白かったです。主人公が凄くかっこいいし、兄のことをにぃといってるギャップが良すぎました。お疲れ様でした! (5月14日 23時) (レス) @page48 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 今一番楽しみにしてる小説です(T . T)これからも応援してます〜! (2020年5月2日 11時) (レス) id: 008e34b9a1 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 続編おめでとうございます!めっちゃ好きです。これからも応援してます。更新頑張ってください! (2020年4月30日 21時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りろ | 作成日時:2020年4月30日 21時