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あなたに触れた、温度が消えていくのがどうしようもなく怖いの。あなたを支えるつもりが、いつのまにこんなに弱くなったのかな。どこを見ても、何を聞いても、あなたの面影があるのに、あなたはもうどこにもいない。わたしに微笑みかけてはくれない。胸が焦げてしまうようなこの痛みは、恋にも似ている悲しみだ。私は、あなたのいない明日を生きていくのが耐えられない。胸の痛みが私ごと燃やして灰にして、あなたのもとへ連れていてほしい。


ふらふらと立ち上がると、満月が昇っていた。自分の影が濃く伸びるのを見て、やっぱり私はまだ生きているんだと思った。

「生きていますよ。」
呟く声が、どこか遠くに行った彼に届くだろうか。

「死んだり、しませんよ。覚悟して、あなたを愛していましたから。」
満月は何も言わない。私が望む返事をくれない。

「あなたがいない明日も、愛してみせますよ。あなたが、わたしにそれを望むなら、当たり前で平凡な温かい毎日を過ごしますよ。」

とっくに彼果てたと思っていた涙は、いまだとめどなく溢れる。
あなたが置いていったんだ。あなたが私を泣かせているんだ。

「だってわたしも、あなたを愛しているから。」

彼岸の向こうで、後悔したって知らないから。あなたの手は私の涙をぬぐうことはできないんだから。

だから、
「私が何十年も先、幸せに天寿を全うした後にそっちへ行くまで待っていてくださいね。どんなに幸せな人生だったか、自慢してやりますよ。あなたがヤキモチを妬くくらいの、素敵な思い出を」

真っ白な満月は何も言わない。でも、それでよかった。

「だから、そうしたらまた....」

抱きしめてください。
同じ時間を過ごさせてください。
ただ、隣にいるだけの時間をいとおしいと知っているから。
あなたのことをさらに愛しく思いこそすれ、恨むことなどありません。

いつかあなたに会うことを夢に見ながら、あなた以外の人と私は幸せになってやります。


さようなら、愛した人。
いつかまた会いましょう、愛する人。

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あおりんご(プロフ) - 吹雪さん» ありがとうございます!挑戦してみます。とてもゆっくりの更新ですが、読んで頂けて嬉しいです。 (2020年11月6日 22時) (レス) id: 8502751b8c (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - あの、悲鳴嶼さんは書いてもらえませんか。 (2020年11月2日 21時) (レス) id: a5355ab53e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおりんご | 作成日時:2019年8月15日 1時

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