1話 ページ2
.
ここが雄英高校……
綺麗な桃色に咲く桜は、まるで、ヒーローのたまごを歓迎するかのように微笑んでいる。
そう、ヒーローのたまごを。
はぁ……記念受験のはずだったんだけどなぁ……
もちろんわたしも、ひ、ヒーローになりたい！
けど、こんなわたしが受かって……いいのかな……
ため息をつきながら下を向いて歩いていると、ドンッと誰かにぶつかった。
｢ﾋｴｯ！！すみません！！焼きそばパンでもなんでも買ってきますから！！！｣
｢すみません！｣
さっき不注意でぶつかった人と同時にお辞儀をする。
｢環〜何をしてるの〜？2人とも大丈夫かい？｣
｢あ〜！この子、もしかして新入生？？だよね？そうだよね？？｣
目の前で広がる会話に追いついていけない。
｢っと……怪我……は、ないみたいだね。足が痛いとかあるかな？｣
｢いっっいえ！！！滅相もございませんｯｯ！｣
｢滅相もない……？ははっ！面白い子だなぁ！｣
｢だよねだよね！！しかもカワイイし！！ねえあなたはどうしてカワイイの？？お名前は？？教えて教えて！！！！あ、わたしはねじれっていうんだ〜！三年生だよ！！よろしくね〜！｣
会話の流れが早すぎて受け答えができず、あわあわしてるわたし。
本当にみっともないなぁなんて思いながら。
｢ほ、本当に怪我はない……？｣
｢ｯ……は、はい……！｣
色白でキメの細かい肌。
少し青いサラサラの髪。
心配そうな、うるうるとした瞳。
長く、フサフサとしているまつ毛。
う、美しい……
思わず息を呑んでしまうほどに見とれてしまった。
｢すまない……これからは……気をつけます……｣
｢いっっ、いえ！！！こちらこそすみません……！｣
また2人でお辞儀をする。
なんだか、笑えてきた。
｢ねぇねぇ、名前は〜？｣
少しの間無視されていたせいか、少し退屈そうにわたしに問いかけるねじれ先輩。
｢な、名前は……A Aです……｣
｢Aちゃんだね〜！よぉ〜し！覚えたぞぉ〜！！｣
｢よし！Aちゃん、雄英高校にようこそ！｣
｢ようこ……あ、そろそろ教室へ戻らないとマズイ……｣
ふと目に入ったらしい時計を見て、焦った様子で呟くぶつかった人。
｢っていうことみたいだから、またあとでね〜！！｣
そういって走り去ってしまった。
なんて嵐のような人たちなのだろうか。
新入生のわたしは、まだ時間に余裕があるのでゆっくりと校内へ足を運んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍田 悠夏 | 作成日時：2019年12月9日 17時
