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無惨の過去 ページ4

最初の口づけの時はひんやりしていた彼の唇が、徐々に熱を帯びてきた。
と同時にまた頭の芯がしびれてきて、指先から感覚が無くなってくる。

もしかして…わたしの体温が奪われてるの…?

『…いや…!』
このままじゃまた眠ってしまう。
抵抗しようと肩を押し返すが、びくともしない。


『ぁ……』
ダメだ。もう…。


”あんたが私より長生きするって約束するんなら…娶られてあげる。”
”ほんとう?”



朦朧としてきた意識の中、誰かの話声がする。
ぼうっと映像が映しだされた。



”まずはそのモヤシみたいなひ弱な身体、なんとかしなさいよ! はい、腕立て伏せ100回!”
”無理だよぅ…花雅ちゃぁん”


十二単を着た女の子と…泣きべそをかいているのは…幼い彼自身?

でも瞳は深紅じゃない。




………………………


場面が急に切り替わった。






”出血が酷い…。早く医者を呼べ!!”
”花雅様!!”

バタバタッと人が走り回り、ただならぬ雰囲気。


”無惨様。申し訳…ありません。この子を…頼みます……。”
”花ッ!!!!おい!約束しただろう!私を置いて逝くなァッ!!!!!”

女の人の周りには大量の出血。
無惨が彼女に縋るが、その瞳からは光が消えてしまった。



……あれ、この女の人、見たことある。

…この髪、瞳…わたしにそっくりだ。





”この役立たずどもがッ…!! ”
無惨の瞳が怒りで徐々に赤く染まっていく。


”ひぃぃ!!!! お許し下さい無惨さ…ぐあっ!!!”
”逃げろ!!”
”痛い痛いッ!!!”




『……ッはぁ!』
意識が飛ぶ寸前に、やっと解放された。目の前には満足げな深紅の瞳。
彼の唇が離れた瞬間、映像は消えた。




『………?』
あの映像の中で死んだ女性は、確かにわたしに瓜二つだった。
あの人は一体…?






「思った通りだ。…力が漲ってくるぞ…! いい気分だ…。」

彼は力が抜けて横たわったわたしの上にかがみ、頬に触れた。
その手を着物の襟元まで滑らせ、ビリッと肩口まで裂いた。
そのまま露わになった右肩に歯を立てられた。


『痛ッ!!?』
びっくりして避けようとするが、力が入らない。
右肩はズキズキと痛み、血が流れた。




「そうだ…これこそ私が待っていたもの…。」

彼はわたしの血の”色”を見て冷たく笑った。


「少しずつ慣れていけば良い。……いずれ私達は1つになるのだから。」

「愛しているぞ…花雅。」

過ごす日々→←探し人。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 黒死牟 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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ねう。(プロフ) - 3年前に読んでハマって、昔のスマホに記録を残していて…3年ぶりに電源を入れて、見つけて即飛んできました…やっぱりこのお話すっごく好きです(泣) (5月27日 21時) (レス) @page26 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - るりもちさん» ありがとうございます。ちょっと忙しくて更新が停滞気味ですが、励みになります! (2020年8月16日 21時) (レス) id: caa70b2ac7 (このIDを非表示/違反報告)
るりもち(プロフ) - タイトルにセンスを感じました…!(おい) 更新頑張って下さい! (2020年8月16日 18時) (レス) id: 4d1d493798 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - まるこさん» あ、そうなんですね。分かりました。失礼しました。 (2020年8月4日 19時) (レス) id: 47d2d41a3d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます。タイトルはわざと当て字にしています。紛らわしくてごめんなさい。宜しければまたお立ち寄りください。 (2020年8月4日 18時) (レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるこ | 作成日時:2020年7月29日 13時

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