それは、愛 ※一部修正 ページ21
柱合会議が終わり、先ほど産屋敷当主に呼ばれた実弥は、自分が呼ばれた意味を考えていた。
胡蝶と甘露寺は同性だからだろう。しかし自分は一体−…？
いくら考えてもわからない。
「呼びたてて済まない。」
当主が入ってきて、静かに座った。そして「A、ここへ。」と声を掛ける。
Aと呼ばれた少女がふわりと現れた。
陽を跳ね返す濃紺の髪がサラリと流れ、伏せられた青い瞳は所在なさげに揺れている。
こころなしか肌も青白く、透き通るようだ。
実弥はそっと目の前の女を眺める。
不思議な生き物だ、と思う。
外見は確かに人間の形をしているが、中身は全く違うような…上手く形容できないが人間とも鬼ともちがう気配がする。
菓子屋で会った時はもっと活気があったような気がしたが…気のせいか？
「自分が人間なのか、鬼なのか。」
そこで当主は言葉を切り、控える3人を静かに見据えた。
「Aは今、混乱している。無理もない。今まで自分は無惨に吸収されるだけの運命だと思っていたところに突然第2の選択肢が現れたんだ。…私としては勿論、Aを無惨に渡す気はないよ。しかしこちら側に引き入れるためには、A自身が人間として生を全うしたいと願う理由が必要だ。友情、知識、そして−…何気ない日常。」
「しのぶ、きみは知識を与えてやって欲しい。己を知り、正しく理解することは生きていく上で必要不可欠だ。A自身のまだ見ぬ才能を見つけ、理論的に説明してやれるのはきみだけだ。」
「蜜璃、きみは友情だ。きみのその明るい優しさは、きっとAの気持ちを癒してくれる。それはきっと、きみしか頼めない。」
「そして実弥。」
実弥は姿勢を正し、当主を見つめた。
当主は当惑と緊張を隠せない実弥を見て微笑んだ。
「きみは自分で思うよりも器用で面倒見がいい。食事をし、会話をし、身体を鍛え、健やかに眠る。Aの日常生活を整えてやって欲しい。…頼めるかい、実弥。」
「勿論で御座います、お館様。」
返事はしたものの、実弥は果たして自分へのその評価が適当なものなのかどうか、いま一つ自信が持てない。
「他者からしか与えられないもので」
「この世で生きていると実感するのに、必要なものは？」
微笑みながら言う当主に、問いかけられた3人は顔を見合わせた。
「人を変えるもの。」
「それはね、愛だと思うんだ。」
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ねう。(プロフ) - 3年前に読んでハマって、昔のスマホに記録を残していて…3年ぶりに電源を入れて、見つけて即飛んできました…やっぱりこのお話すっごく好きです(泣) (5月27日 21時) (
レス) @page26 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - るりもちさん» ありがとうございます。ちょっと忙しくて更新が停滞気味ですが、励みになります！ (2020年8月16日 21時) (レス) id: caa70b2ac7 (このIDを非表示/違反報告)
るりもち(プロフ) - タイトルにセンスを感じました…！(おい) 更新頑張って下さい！ (2020年8月16日 18時) (レス) id: 4d1d493798 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - まるこさん» あ、そうなんですね。分かりました。失礼しました。 (2020年8月4日 19時) (レス) id: 47d2d41a3d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます。タイトルはわざと当て字にしています。紛らわしくてごめんなさい。宜しければまたお立ち寄りください。 (2020年8月4日 18時) (レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まるこ | 作成日時：2020年7月29日 13時
