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蝶屋敷にて ページ15

穏やかな朝陽が緩く差し込む、静かな朝。

『…ここ、どこ?』
目を開けたら、知らないお屋敷にいた。
Aはまだはっきりしない頭を働かせようと、記憶を辿る。わたし確か墓地に居て、お墓が光ったと思ったら気を失って、全身が痛くて−…。

『ッ!』
不意に目の奥が鈍く痛んだ。目頭をつまんで目を閉じる。
身体もまだ、節々が動かしづらい。

黒死牟はどうしただろう。
寂しさを感じながら、ふと窓の方を見ると。



「!!!?」



窓に張り付いている無表情の男がいた。
Aが自分に気づいたのを見ると、口の形をお、は、よ、うと動かし、片手を少し上げて微笑む。




 
『……ッキャァァァァァ!!!』
Aが叫び声を上げて飛び起きると同時に「どうしました!?」とドアが勢いよく開いた。
飛び込んできた蝶飾りの女性が剣を抜く。


「……。」

女性は何とも言えない表情で窓辺に寄り、「冨岡さん」と呆れた口調で言った。

「わたしは外を見張って下さいとは申し上げましたが、不審者になれとは言ってません。」
そのままぴしゃりとカーテンを引いた。




「しのぶ様!何事ですか!?」と駆け付けてきた少女に「大丈夫です。アオイ、朝食の支度を。」と告げた。そしてAに向き直り、「ご気分は如何ですか?」と優しく声をかけた。

「わたしは胡蝶しのぶと申します。ここは私の屋敷です。」

『…Aです。』
自分を覗き込む女性を見て、キレイな瞳だな、と脈絡なく考える。
状況はよくわからないが、悪い人ではなさそうだ。

『あの、わたしは何故ここにいるんでしょうか?』
ここはどこなのかはわかったが、何故連れて来られたのだろう。



「……。」
しのぶの紫がかった大きな瞳が一瞬、迷うように揺れた。
Aの問いには応えず、ニコッと微笑む。

「まずは朝食をどうぞ。」
ふんわりとした味噌汁の匂い。キラキラと輝くご飯。
目の前に用意された温かい食事を見ると、Aは急に空腹を感じた。



『あ!…わたしの近くに誰か居ませんでしたか?ちょっと個性的な見た目の人…とか…。』

Aは、「では」と会釈して出ていこうとしたしのぶに尋ねる。



「……さぁ?」
首を傾げ、しのぶはそのままゆっくりと扉を閉めた。





……………………………

その頃。

「……おはよう、じゃなかったか?」
勢いよく閉められたカーテンを見ながら、窓の外で考え込む義勇であった。





※冨岡さんが残念な感じに…。ごめんなさい!

想いを馳せる→←運命の日 −しのぶと義勇−



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設定タグ:鬼滅の刃 , 黒死牟 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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ねう。(プロフ) - 3年前に読んでハマって、昔のスマホに記録を残していて…3年ぶりに電源を入れて、見つけて即飛んできました…やっぱりこのお話すっごく好きです(泣) (5月27日 21時) (レス) @page26 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - るりもちさん» ありがとうございます。ちょっと忙しくて更新が停滞気味ですが、励みになります! (2020年8月16日 21時) (レス) id: caa70b2ac7 (このIDを非表示/違反報告)
るりもち(プロフ) - タイトルにセンスを感じました…!(おい) 更新頑張って下さい! (2020年8月16日 18時) (レス) id: 4d1d493798 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - まるこさん» あ、そうなんですね。分かりました。失礼しました。 (2020年8月4日 19時) (レス) id: 47d2d41a3d (このIDを非表示/違反報告)
まるこ(プロフ) - みんさん» コメントありがとうございます。タイトルはわざと当て字にしています。紛らわしくてごめんなさい。宜しければまたお立ち寄りください。 (2020年8月4日 18時) (レス) id: d44de4af2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるこ | 作成日時:2020年7月29日 13時

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