慣れないことはするもんじゃない（冨岡義勇） (ページ10)

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言っても伝わらないこともある　⑨ ページ10

『はい、私も好きです！今までぶり大根派でしたけど、鮭も合いますね。』
もぐもぐと口を動かすA。

俺は箸を止めて姿勢を正す。
「鮭大根より(Aのことが)好きだ。」

『？何がですか？』
首を傾げるA。

そうか、これじゃだめか。それはそうだ。

「……Aのことが好きだ。」

言い直してみると。

『良かったです。わたしも好きです。冨岡さんのこと。』
嬉しそうに答えるA。

……まさかAも俺のことを…？

もし、もしも俺と同じ気持ちなら…恋仲になることを承知してくれるだろうか。
鬼殺隊に籍を置く身として常に死と隣り合わせの人生ではあるが－…共にいてくれるだろうか。

「…A俺とｋ『柱の皆さんのことは大好きです。皆さん優しくしてくださるから。』

ん？

『大好きな仲間のためにも、もっと強くなってすべて守れるように精進します。』
強い決意を宿した獅子色の瞳。

「………そうか。良い心がけだな。」
まぶしいくらいの笑顔のAに、俺はそれ以上は言えず、汁椀をすすった。

今はまだ伝わらないけれど。

伝えてもいいんだとわかったから。

これから何度でも伝えていく。