通り雨に花束を (ページ4)

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「お母さん！これあげる！」

カスミソウの花束を渡すと

お母さんは泣きそうな顔をして

それを隠すように笑顔でありがとう、と言った。

カスミソウ、好きじゃなかったかな？

でも、ありがとうと何度も言ってくれて

優しく抱きしめられるとなんだかくすぐったくなった。

龍「腹減ったぁ！

名前、早く着替えてきな！」

「うん！！」

久しぶりに入る自分の部屋は、使っていないのに

きちんと掃除されているから、お母さんが綺麗に

してくれてるんだ。

子供のころ、4人で行ったテーマパークの写真が

倒れていることに気が付く。

まだ小さい私たちをお父さんが龍ちゃんを、お母

さんが私を抱っこして笑っている。

お母さんの手が私をぎゅっと抱きしめていて、

それが少しだけ苦しくて笑っている私。

自然と今の私もクスッと笑ってしまう。

龍「名前ー！！

はやくー！」