今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:12,930 hit
小|中|大
18 ページ18
名前の好きなリンゴジュースを自販機で買って
ベンチに座って俯いている。
まだ俺の存在に気がついていない。
家出少女の頭に缶をコツンとぶつける。
「瑞稀、、、」
瑞「何してんの?」
「私、家出めっちゃ下手だよね?」
瑞「下手すぎ。
もっと行くとこあんだろ。」
あの兄貴と喧嘩なんて、珍しいどころの話じゃない。
原因も気になるけど、
狭い街で俺が最初に名前を見つけたことが
すごく嬉しかった。
「龍ちゃん、くる?」
瑞「うん、
今、人生でいちばん本気で走ってるんじゃね。」
フッと笑った名前を見て、敢えて聞かないことを選んだ。
俺といた時間だけでも、この子の心が軽くなれたらと思った。
缶を開けるのに苦戦している。
開けてあげると、ありがとうと言い終わる前に
美味しそうに飲んでいる。
かわいいとか美しいじゃなくて、
愛おしい。
そんな感情になったのは人生で初めてだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
120人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:榛遥 | 作成日時:2021年12月22日 0時