君との出会いは地獄 JK ページ22
今日のボーカル練習はジニヒョンとユンギヒョンとするらしく、先に練習室に行っておくように言われた。
中に入るとまだ2人は来ていなくて、仕方なく発声練習をしながら待つ事にした。待つ事数分、やって来たのはジニヒョンでもユンギヒョンでもなく、
『 失礼しまーす、...ってあれ。あ、え?間違えちゃった...? 』
同い年のAさんだった。僕が事務所に入ってもう暫く経つけど、最初に挨拶をしただけで話した事がなかった。多分、いや絶対、向こうも人見知りだ。
JK「 あ、今日はジニヒョンとユンギヒョンとボーカル練習するって... 」
『 ...私も2人からそう言われてたんですけど... 』
やられた。Aさんが居る事を知ったら僕が嫌がるから黙ってたんだ。絶対そうだ。
Aさんが嫌いだとか、印象が悪いだとか、そんな事は全くなくて。ただ、どう接していいか分からない。僕も凄い人見知りだし、女の子と話す機会なんて今までなかったし...
彼女も僕が居るのを知らされてなかったのか、不安ですって思いっきり顔に書いてある。
JK「 一緒に...待ちますか。2人まだ来ないみたいだし... 」
『 あ、はい。...そうします。』
今更駄々こねたって何も変わらないし、彼女が悪いわけでもない。悪いのはヒョンだ。
練習室の壁側に2人並んで座る。極度の人見知りだけの空間って、はっきり言って地獄だ。
お互い喋らないから沈黙の時間が続く。恐らくそんなに経ってないんだろうけど、僕の体感では1時間ぐらいは経ってる気がする。...ヒョン早く来てよ。
JK「『 あの、..あ、何でもないです』」
再び沈黙、地獄再来。お互い気を遣って話をしようとした結果がこれだ。
恥ずかしいし、気まずいし、いつまで経っても来ないヒョン達に怒りが爆発しそうになった時、隣からクスクスと笑い声がした。
『 ...あはは、...ッごめんなさい...まさか、あんなにハモると思わなくて...んふ。』
確かに長いことハモったなと思ったけど、それどころじゃなかった。けど彼女にはそれがツボだったらしく、口元を隠して笑っている。
JK「 そんなに面白かったですか? 」
『 ふふ。はい、私あんなにハモったの初めてです。』
涙を浮かべて笑うAさんを見たら、僕が1人緊張してるのも変な感じがしてきて、人見知り具合もちょっと解れた気がした。
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作者名:eve | 作成日時:2022年12月6日 19時