IDOL【 BTS 】 (ページ2)

今日:14 hit、昨日:18 hit、合計:119,819 hit

prologue ページ2

特に秀でた才能もなかった私が唯一胸を張れるのが歌だった。

私が歌うと両親は凄く喜んでくれたし、沢山褒めてくれた。

大好きだった両親は事故で他界。15歳で天涯孤独になった。葬儀が終わって、ふと訪れたのは子供の頃よく3人で来ていた公園。

公園の端にある一番大きな桜の木の下。そこが私達家族のお決まりの場所だった。

そして、私のステージだった。

　『なんで置いて行くかなぁ... 』

真冬の透き通った空気の中に、私が吐き出した言葉は白い息と共に溶けていく。

ベンチに座って目を閉じれば、まだ2人が隣にいるみたいで。

歌を歌えば、いつものように褒めてくれるんじゃないかって。

もう二度と会えないと分かっているけれど、願わずにはいられなかった。

　『 ...Somewhere over the rainbow, way up high(虹の向こうのどこか空高くに)

　 There's a land that I heard of once in a lullaby(子守唄で聞いた国がある) 』

私を置いて行かないで

私をひとりにしないで、そばに居てよ。

　『 ...Birds fly over the rainbow. Why then, oh why can't I?(虹を超える鳥達僕も飛んで行くよ) 』

最後まで歌っても周りは怖いくらいに静かだ。現実に押し潰されそうになっていると背後から拍手が聞こえた。

　「歌、上手だね。感動したよ。」

2人じゃない。だけど2人がよく言ってくれた台詞。

　『 ...どちら様ですか？』

　「僕はパン・シヒョク。君の名前は？」

　『 ...チェン・Aです。』

PD「 A...いい名だ。歌うの好き？」

　『好き...です。私、歌しか取り柄ないんです。』

PD「そんな事ないと思うけど、確かにこのままにしておくには勿体ないね。」

　『 ...両親も似たような台詞を言ってくれました。』

PD「そっか。Aさんはアイドルに興味はない？」

【アイドル】その言葉に小さい頃の記憶が浮かぶ。