【 20 】バーカ！ ページ21
智「翔くん？どしたの、怖い顔して」
翔「いや……何してんの？」
智「誓ってただけ」
翔「誓い？」
顔を少し歪めて訳がわからないって顔しながら私の方を見る
「誓い…らしいですよ？任務で、危ないことがあったら守るっていう」
翔「それは全員がお互いを守るんだから誓うことじゃないでしょ？」
ゆっくり、近づいてきた櫻井さんが月の光にフワッと当たると…綺麗な顔なのが際立つ。
智「うん。まぁ…色々あんの。今は言えないだけ。だから、Aにだけ誓ってたの」
翔「今は言えない？どういう事？」
智「ふふ。気になるんなら俺の心覗けばいいでしょう？」
翔「……読ませないようにしてるくせに、」
智「ありゃ。読めないんだ、残念」
と、全然残念そうじゃない感じで言って微笑む。
……すっごい重い。なんなんだこの空気感
「えっ…と、」
和「あ、翔ちゃんここに居たー！…あれ、大野さん来てたの？」
智「うん。ニノ、なんか良いとこみっけた？」
和「良いとこあったあった。…行く？」
智「行こ行こ」
ドダドダドダッ
遠くなってゆく２つの足音。
それと共にシンッと静まり返るこっちの空間は、なぜか寒く感じる。
…何も話すことがないな………
気まづくて、もう一度空を見上げると、なぜかあの日の光景がフッと頭を過る。
家に帰ると、冷たくなっている床に。冷たく横たわる両親と弟。
…嫌なこと思い出したな。
翔「ぉぃ……おいって！」
「うわぁっ！？はい！」
翔「うぉ！びっくりした！」
「…こっちの方がびっくりしましたよ」
翔「いやいや…お前そんな大声出せんだな」
「もっと出してみましょうか？」
翔「いや、遠慮しとく」
「「………。」」
翔「あのさ」
「あの」
「「………。」」
翔「何？」
「なんですか？」
「「………。」」
翔「…俺先言うな？さっきのあれ……キス、してたの？」
「キス、なんですか？」
翔「いや知るかよ」
「…でも、フワッと触れたかどうか分かんないくらいです。ほんの一瞬なのにその一瞬に来るなんて運悪いですね、櫻井さん」
翔「運は俺も自分で悪いと思ってる。触れたかどうか分かんないくらい、ねぇ…」
「でも、櫻井さんこそどうしてそんなに気にしてるんですか？」
翔「え？いや、別に…それは、」
「あ、まさか…」
大野さんが好きで私と近いのが嫌だったとか？
翔「ばっかじゃねーの！バーカバーカ！！」
「じゃあなんなんですか」
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作者名：ハルvolleyball | 作成日時：2017年12月12日 0時
