89輪目 ページ9
「繋いで帰りましょう！」
「いや、そういうのは好きな人としてください」
「好きですよ」
うん、私が悪かった…。
その話振った私が悪かったです…。
「僕はAさんのこと好きですよ」
出入口を出たところで峰島くんの足が止まる。
「えっと…」
「遅いですよ」
言葉に詰まっていると不機嫌そうな声が後ろから聞こえてきた。
振り返ってみると駐車場で懐かれたのか2匹の野良猫と戯れている島崎さんの姿が視界に入る。
「何してるんですか」
「見ての通りですけど」
「え、可愛い」
島崎さんに近づき足元にいる黒猫を抱き抱えた。
「真っ黒ですね〜」
「その子は黒なんですか」
「はい、もう1匹の子は白です」
私がそう言っている間に白猫を抱き抱える島崎さん。
「貴女にそっくりなんでしょうね」
「それを言ったら黒猫は貴方にそっくりですよ」
「猫より犬がいいです」
「番犬ですか？」
「そうですね、貴女の番犬になりたいです」
白猫を降ろしながら言う。
「彼氏ではなく？」
「彼氏がいいですけど駄目なんでしょう？」
「さぁどうでしょうね」
「おや、期待しても？」
「ご自由に」
黒猫を降ろし峰島くんに軽くお辞儀をして歩き出す。
「猫可愛かったぁ…輝気がひとり立ちしたら猫飼おうかな」
「ひとり立ちしなくても飼えばいいじゃないですか」
「いや、そうじゃなくてですね」
「寂しいからですか？可愛い人ですね」
「うるさいです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春悲 | 作成日時：2019年6月14日 21時
