86輪目 ページ6
「なんで当たり前のような顔して混ざってくるんですか…」
3人グループがいつの間にか4人グループに。
「いやぁ楽しそうだったので声かけにくくて」
「あれが楽しそうに思える貴方はきっと莉永さんと同種ですね」
「Aさんってツン強めですよね」
「わかります、ほんとツンが強くて毎日困ってます」
「デレってないんですか？」
「なかなかデレてくれなくて…」
「ですよね、甘え方がわからないタイプ的な」
「それです」
「そこなに共感し合ってるんですか？！」
私を差し置いて何故か私の話で盛り上がる2人。
「いやぁAの話でここまで盛り上がれるなんて。ちょいちょい来ましょうかね」
「弟とも盛り上がると思いますよ」
「盛り上がる以前にとんでもない物が飛んでくる気がします」
「はぁ…疲れたんで帰ります…」
「あ、送りますよ！」
帰ろうと歩き出した時、いつも通り峰島くんに誘われる。
「あー…だいじょ___」
「彼氏の前で彼女口説くのやめてもらっていいですかね」
峰島くんと私の間に割って入る彼。
横でキャーっと嬉しそうににやにやしながら見ている莉永さん。
「彼氏なら彼女の嫌がること辞めたらどうですか」
「誰だって大好きな人の惚気はしてしまうものですよ」
「貴方のことは聞いてないんですが」
「では君は絶対好きな人の"嫌がること”はしないんですね？」
少女漫画などでよく見るシーン。
漫画なら2人の視線がバチバチとぶつかってるんだろうななんてくだらないことを考える。
まぁそれはいいとして。
彼の腕を手の甲で軽く叩く。
「早く帰りますよ、夕飯作らなきゃなんですから」
「はいはい」
「今日何しましょう？」
「弟君の食べたいものでいいんじゃないですか？」
「まぁそれが前提ですけど…亮は何が食べたいかを聞いてるんです」
名前を呼ぶと一瞬固まったが何事も無かったかのように質問に答えた。
「Aが食べたいものが食べたいです」
「特にないんですよね」
「物欲がなければ食欲もないんですか」
「かもしれないです」
そんな話をしながら遠退いていく私達を見ながら幸せそうににやにやする莉永さんと彼の姿を睨みつける峰島くんがいたことを知るのは数日後の話である。
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作者名：春悲 | 作成日時：2019年6月14日 21時
