84輪目 ページ4
「Aさんお疲れ様です！」
「お疲れ様です」
勤務終了後、いつも通り寄ってくる峰島くん。
「Aさん今日___」
「すみませんAさん、私の携帯どっかいっちゃって鳴らして貰えません…？」
莉永さんがそう言って泣きついてきた。
「いや…絶対そのディスクのどこかに埋まってますよね…」
莉永さんは整理整頓が苦手なようでどうしたらそうなるんだと言うような状態になっている。
「いやぁ…あはは…いつもはすぐ見つかるんですけど…」
「仕方ないですね…」
呆れながら指紋認証でスマホのロックを解除し電話帳を開く。
「あれ、Aさん待ち受けの男の子…」
「？あぁ、弟です」
「そう、ですか。彼氏だと思っちゃいました」
苦笑しながらどこか安心したように言う峰島くん。
やっぱり似てないよね…。
そんなことを思いながら莉永さんの携帯にかける。
するとどこかで鳴り出す携帯。
「えぇっと…どこだ…？」
資料やファイルを崩れないように退けながら探ること3分。
「あった！」
なぜ一番下に…。
結局机の上のファイルや資料を全て退けた。
「ありがとうございます！はぁ良かった…！」
「次からは身につけといた方がいいと思いますよ。貴重品の部類ですし」
「ですね」
無事携帯が見つかったことだしそろそろ出ようと歩き出す。
すると当然のごとく着いてくる峰島くんと慌てて荷物を持つ莉永さん。
気にせずロック画面に表示される時計を見る。
5時半前か。
丁度いいかな。
画面の明かりを消そうとした時、莉永さんが声を上げた。
「あ、ついにデビューですか？やっぱりしますよね！ロックや待ち受けに彼氏さんの写真！」
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作者名：春悲 | 作成日時：2019年6月14日 21時
