99輪目 ページ19
「酷すぎる」
「物凄く1発殴りたい」
そう言ってわなわなと震えている輝気にわかると同意する莉永さん。
「ついでに島崎も殴りたい気分」
「いや、あの人に問題は無いからそんな…ね…？」
輝気を宥めながら莉永さんと話をする。
「にしても1ヶ月でそんなことするなんて…やばいですね」
「なんでそんな短期間でここまで惚れるのかが僕にはわからないんだけど」
「そういうタイプの人なんだって」
「でも1週間で惚れる？」
「弟くんや、世の中には一目惚れというものがあるんだよ」
納得したが納得できないという顔をする輝気。
「明日仕事どうしますか？来れそうですか？」
「休みなよ、行ったらせっかく落ち着いたのに悪化するかもしれないよ」
「確かに…」
うーんと唸る莉永さん。
「えっと…私…」
「花江さんと上司にはもう言ってあるんですよ。あの二人だったら多分明日休めるよう予定組んでるかもなのでちょっと聞いてみますね」
そう言って職場に電話をする。
横で電話の内容を伝達してもらいながら頷いたり首を横に振ったりとジェスチャーし莉永さんに伝えてもらう。
そうすること数分後。
「明日は大きな仕事もなくAさんはほとんどの資料完成させちゃってるので休んでも問題は無いみたいです。ただ休むことによって峰島くんがどう動くかは分からないのでそこは怖いですね…」
「ですよね…」
「自宅の住所とか電話番号教えたりしました？」
「してないです」
ならけしかけて来たりはしないかなっとブツブツと言う。
「念の為、通勤路変えた方がいいかもですね」
「え、でも…」
「大丈夫です！少し来るのが遅くなっても誰も咎めたりしませんから！」
「は、はい…」
少し不安だが莉永さんの笑顔で徐々に不安が消えていく。
ほんと、うちの職場の人達っていい人ばっかりだな…。
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作者名：春悲 | 作成日時：2019年6月14日 21時
