20輪目 ページ20
外にいる時は感じるんですよねぇ。
建物の屋上からある人物の影を追う。
やはりあの建物自体に何かしている？
だがなぜ建物だけ？
悶々と考えていると追っていた影が人気のない路地裏へと入っていった。
おや、中学生が路地裏ですか。
感心しませんねぇ。
そう思っていると影はピタリと止まる。
そして自分へ向けられた言葉が聞こえてきた。
「あんたさっきから人の後ついて来て何？僕に用でも？」
「口が悪いですね」
テレポートを使い少年の目の前へ移動する。
「用ですか？そうですね…貴方のお姉さんの花沢Aさんの事ですかね」
姉の名前を出すと先程の落ち着いた様子が無くなり殺気だった感覚が伝わってきた。
おやおや、随分と可愛らしい弟さんで。
思わずクスクスと笑ってしまう。
「で、何」
「貴方とお姉さん、本当に姉弟ですか？」
「は？」
「貴方、中学生ですよね？ご両親の年齢からしてもまぁ普通です」
何が言いたいのかさっぱりわからないといった反応をする少年。
「未成年の時に産んだってことになりますよね。しかも中学生の時に」
「ｯ！！」
殺気と焦りが混ざりあった感覚。
そして強いエネルギー。
資料通りということですね。
少年が攻撃をしてきたのでテレポートで避けようとした時、背後から感じたことの無いエネルギーを感じた。
そちらに気を取られている隙に少年の拳が目の前に___。
「ｯ！！」
吹き飛んだのは少年の方だった。
状況を理解しようとまずは背後のエネルギーの正体を確認しようとした時、聞き覚えのある声が耳に入る。
「輝気、その使い方は駄目だって約束、忘れたの？」
「………」
先程まで感じていたエネルギーは無くただそこには3色混ざったオーラのAがいた。
さっきのエネルギーは…まさか彼女？
「相手の口車に乗せられてどうするの。モブくんから何を教わったの？」
弟に近づきながらいつもより低い声で言う。
「私、"人を傷付ける使い方は嫌い”だって言ったよね」
その言葉を聞きあることを思い出す。
なるほど。
「ｯ……でも…ｯ」
「でもじゃない」
Aの怒りに触れ少年は言葉を詰まらせる。
「帰ろう」
Aは少年の手を取り引っ張った。
「今後一切、弟には近づかないでください」
そう言って少年を連れ去っていく。
色々謎が解けました。
貴女だったんですね。
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作者名：春悲 | 作成日時：2019年4月30日 17時
