2輪目 ページ2
「昨日の天気予報、降水確率20%以下だったのにこのザーザーっぷり。私、弟がいるんですけど傘持って行ってないだろうと思って弟の傘を持って学校まで行ったんですけど、なんとガールフレンドちゃんに入れてもらってるみたいで」
楽しそうにお喋りをする彼女に不思議な事に安心感を覚える。
「それで、とぼとぼ帰っていたら貴方を見かけて困っていた様なので声をかけたという訳です」
「そうですか、ですがガールフレンドさんに入れてもらっていたとしても渡せばよかったのではないですか?」
私がそう言うと彼女は何故か吹き出した。
「無理です無理無理。そんな事したら私恨まれちゃいます」
「??何故ですか?」
「実は私の弟、校内1のモテ男でとんでもない程人気があるんですよ。なので邪魔したら藁人形に五寸釘打たれちゃいます」
彼女の言葉選びに思わず笑ってしまう。
「面白い人ですね」
「よく言われます」
「否定しないんですか?」
否定した方が良かったですか?と問い返す彼女にいいえと応える。
「ありがたいのですが、弟さんの傘を借りるのは申し訳ないです」
「それならどうぞ、私の傘です」
そう言ってさしていた傘を私に差し出す。
「私は弟の傘があるのでどうぞ使ってください」
少し戸惑ったがこの雨の中無いよりはマシだと思い借りることにした。
「ありがとうございます」
「いえ」
返す時の事を聞こうとした時、彼女の携帯が鳴った。
「すみません。もしもし?どしたの?___また?もぉ仕方ないなぁ。分かった、今何処?」
失礼しますと言いお辞儀をし駆け足で去っていく彼女。
完璧に聞きそびれた。
まぁ大丈夫でしょう。
あれだけ個性的なオーラなのだから直ぐに見つかる。
そう思っていたのだが___。
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作者名:春悲 | 作成日時:2019年4月30日 17時