4話 ページ5
｢え僕？！！｣
すぐそばの廊下の壁側から、青年のような声が聞こえた。ぱっと後ろを振り返ってみると、声の先にはなんとも奇抜な髪色の3人組が、同じようにこちらを見つめて立っている。
3人ともラフな服装をしていて、まだ顔には幼さが残っていたため、すぐに雄英の生徒だとわかった。
｢雄英の生徒の子達…であっているかな？｣
無視する訳にも行かず、わかりきってはいるがそう声をかけた。
すると素直に｢そうです！｣と元気よく返事があって、少し安心した。返事もなく逃げられたら、私も流石にショックだ。
｢あの…誰かに御用でしょうか？｣
しばらくの沈黙の後に、3人のうちの深緑の髪をした男の子がそう訪ねてきたので、私はなるべく不審がられないように微笑みながら答える。
｢うん、人を待ってるんだ。｣
｢あっその、失礼だったら申し訳ないんですけど、誰かの親御さんですか…？｣
｢いや、違うよ。私は相澤先生を待ってるんだ｣
｢相澤先生？！｣
相澤の名前を出すと、押し黙っていた他の2人が声をあげ、興味津々な様子で近づいてきた。
(この子達、まさか相澤の…)
あの男の名前を出してこの反応はそうに違いないだろうと、自分の予想に確信をもつ。
きっとこの3人は間違いなく彼のーーー
｢俺たち、相澤先生の生徒なんです！！｣
｢やっぱりそうか、反応がわかりやすくていいね。｣
予想通り、彼らはあの相澤の教え子だった。
少なくともこの3人は"まだ"除籍通告を受けていないようで安心だと、人事のように思う。
あっという間に3人に周りを囲まれて、逃げ場がないという感じで、様々な質問攻めをされた。
私がプロヒーローなのか、なんの用事があって雄英にきたのか、相澤先生とはどういう関係なのか等々、本当に色んな質問をされた。
どうにか曖昧なニュアンスで返すことが出来ているが、それでも3人の質問は尽きることは無かった。
｢私だけではなくて、そろそろ君たちの名前を教えてほしいんだけど…｣
｢｢あ！｣｣
キリのいいところでそう尋ねると、3人は自分たちのことをすっかりと忘れていたようで、慌てて自己紹介をしてくれた。
緑髪の優しげで常に緊張気味の｢緑谷出久｣、派手な黄金の髪色でフレンドリーな｢上鳴電気｣、そして本当に個人的でデリカシーのない質問ばかりしてきた｢峰田実｣。
この年代の子達と話すのはとても久しぶりだったが、壁を感じることはなく、相澤が来るまで会話を楽しむことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1688人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっつ(プロフ) - このお話めちゃくちゃほっこりして大好きです！！更新楽しみです！ (2021年8月23日 14時) (
レス) id: 7aeb4072e1 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - エリちゃんと相澤先生大好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます！！ (2021年8月23日 8時) (レス) id: e6ef6aa37c (このIDを非表示/違反報告)
海月 - 続き待ってます!! 楽しみに読んでます 応援してます (2021年8月14日 10時) (レス) id: 715b9b383e (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - めっちゃ好きです（*｀・ω・*） (2021年8月13日 21時) (レス) id: 7bc3a22003 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 続き…続きはどこに?めっちゃ面白かったです!!応援しています!! (2021年8月12日 10時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2021年7月29日 2時
