13話(編集しました) ページ14
壊理の荷解きが終わり、日はすっかり落ちて午後9時。
荷解きが終わってからは軽く夕食を食べたり、テレビを一緒に見てくつろいだりと、言ってしまえば本当の”家族らしい”ことをして大半を過ごした。最初は緊張気味だった壊理も少し慣れた様子で、今はソファに座って子供向けのテレビ番組に見入っている。
「壊理」と名前を呼んで私も隣に腰掛けると、彼女はすぐにテレビから目を離してこちらに顔を向けた。
「そろそろお風呂に入ろうか。相澤から連絡があって、明日の朝、寮の生徒に私たちを紹介するらしいから。」
早く寝よう、とだけ伝えると、「わかった」と壊理は素直に頷いてソファから降り、せっせと着替えを用意し始めた。教師寮の方の部屋にはシャワー室が取り付けられているが、ここの生徒寮にはそれがない。風呂は共同で時間が決められているらしいので、生徒と鉢合わせないように、利用がない時間を選んで入ることにした。私も準備をするため、壊理のいるクローゼットの方に歩み寄り、一番上の方から寝巻きを取り出す。するとその様子を見た彼女が、驚いたように目を丸くした。
「Aさんも、お風呂に入るの？」
「まさか１人で入るつもりだったのか？」
「ずっとそうだったから…」
今日もそうするつもりだったと付け加えて、壊理は不思議そうな顔で私を見上げる。
彼女にとってのこれまでの”普通”が、そうだったのだと理解した。こんなに小さな女の子を１人にさせること自体不安なのに、風呂場に１人でなんてもっての外だ。怪我や浴槽で溺れてしまう可能性だって十分にあり得る。
彼女にとってのこれまでの普通を否定しなくていい、ただ、これからの生活の中で私たちの普通を彼女が知ってくれればそれでいいと思った。
「壊理、相談なんだが」
「うん」
「一緒にお風呂に入りたいんだが…、嫌か？」
彼女が嫌と言えないのをわかっていて、そう聞いた。なんだかずるいことをした気分で罪悪感があったが、当の本人の表情は少し嬉しそうにしていて安心する。
「あのね、私誰かと一緒にお風呂入るの久しぶり！」
「私ももう長いことずっと１人だったから、嬉しいよ。ありがとう」
もう30にもなるいい大人が何を言っているんだと小っ恥ずかしくなったが、壊理が嬉しそうに着替えを準備する姿を見て、恥ずかしさなど吹き飛んでいくのがわかる。
相澤が選んだそこそこセンスの悪い寝巻き達から、どれを着ようかと悩む姿が可愛らしくてたまらなかった。
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なっつ(プロフ) - このお話めちゃくちゃほっこりして大好きです！！更新楽しみです！ (2021年8月23日 14時) (
レス) id: 7aeb4072e1 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - エリちゃんと相澤先生大好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます！！ (2021年8月23日 8時) (レス) id: e6ef6aa37c (このIDを非表示/違反報告)
海月 - 続き待ってます!! 楽しみに読んでます 応援してます (2021年8月14日 10時) (レス) id: 715b9b383e (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - めっちゃ好きです（*｀・ω・*） (2021年8月13日 21時) (レス) id: 7bc3a22003 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 続き…続きはどこに?めっちゃ面白かったです!!応援しています!! (2021年8月12日 10時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年7月29日 2時
