10話 ページ11
｢……まさか、この間の死穢八斎會と繋がりがあったとは。｣
相澤の話を聞いていくうち、段々と顔が青ざめていくのが分かる。
壊理の両親がもういないことや、その後死穢八斎會の若頭に引き取られ、酷い扱いを受けていたこと。そして彼女の個性を惨いことに利用されていたこと。すべての内容が現実離れしていて、まるで映画のような話だった。
報道番組でちらりと耳にした程度で、あまり詳しく事件のことは知らなかったが、相澤によれば、その抗争に緑谷と通形含め、何人かの雄英生もインターンで参加していたらしい。そしてその日に、通形は「個性を失い」、雄英を休学することになったそうだ。
(……全然、明るく言えるようなものじゃないだろ)
彼の人生、ヒーローになるという夢がなくなってしまってもおかしくない。その事実は成人にも満たない彼にとってどんなに重く、酷だっただろうか。
｢通形は、立派にヒーローしてるな。｣
｢…そうだな、俺もそう思うよ。｣
相澤が言うに、通形の個性も壊理の個性の調整が将来的に上手く行けば、取り戻せるかもしれないそうだ。完全にヒーロー生命を絶たれたわけじゃない。それを聞いて通形と会ってものの数分だと言うのに、心底ほっとした自分がいた。
｢壊理ちゃんは、近々雄英の教師寮で預かることになった。まだ緑谷達には伝えていないんだが…｣
そして相澤は、まっすぐに私の目を見た。その彼の黒い瞳が、小さく揺れた。
｢お前に、壊理ちゃんの『母親』になって欲しい。｣
｢………｣
｢治崎の影は、まだ彼女に強く根付いている。入院していた時も、今も、そのせいかあまり笑うことがない。｣
そう続けて、相澤は深く、深く頭を下げた。
丸まった背中には、ヒーローか教師か、それとも相澤消太としてか。壊理を救いたいという意志を感じた。
｢永遠に、とまではいわない。せめて彼女が普通に笑えるようになるまで、そばにいてやって欲しい。母親っていう存在は、あの年頃の子には必要だ。俺や他の人間ではきっと、あの子にとってそういう存在にはなってあげられない。｣
頼む、と更に相澤は腰を丸めた。
今の壊理には、親が必要なのだと彼は言った。確かにあの歳の子供にとって、親という存在は大きい。更に壊理は特殊すぎる環境で、自分を殺すように息をしてきたのだ。心にも深い傷があって当然、人に甘えるにはどうしたらいいかなど、全く分からないだろう。
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なっつ(プロフ) - このお話めちゃくちゃほっこりして大好きです！！更新楽しみです！ (2021年8月23日 14時) (
レス) id: 7aeb4072e1 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - エリちゃんと相澤先生大好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます！！ (2021年8月23日 8時) (レス) id: e6ef6aa37c (このIDを非表示/違反報告)
海月 - 続き待ってます!! 楽しみに読んでます 応援してます (2021年8月14日 10時) (レス) id: 715b9b383e (このIDを非表示/違反報告)
結月(プロフ) - めっちゃ好きです（*｀・ω・*） (2021年8月13日 21時) (レス) id: 7bc3a22003 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 続き…続きはどこに?めっちゃ面白かったです!!応援しています!! (2021年8月12日 10時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年7月29日 2時
