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クローゼットの中、楽しそうに声を潜めて笑う。
「母様、見つかっちゃいますよ」
勉強の時間なのにサボって遊ぶ、双子の兄妹。
「みつかっちゃったら一緒に謝ってあげるわ」
ドヤ顔でこの時を楽しんでいる母親。
「もう、どこに行っちゃったんですか〜!」
人の気配が無くなったら勢いよくクローゼットを出て幼い我が子を二人抱えてドレスを翻し窓から飛び出す。
下の階から見える窓からワタワタと慌てる人達。
3階の窓から飛び降りれば誰だって慌てる。
しかし2階の窓の位置でピタリと落下は止まる。
「面白ーい!」
双子が声を上げて笑う、ドレスの似合う母親は足元の魔法陣を上に上にと上空に上げる。
広い世界を一望出来るような場所まで来ると指をさして国を教える。
一頻り教えると子供達は幸せそうに寝てしまう。
夫の方は思うところもあるだろう。
しかしこの母なのだ、自由奔放、風のような人。
周りも巻き込んでしまうのだ。
「ラインハルト様おかえりなさいませ」
遠征から帰ってきた第一王子は微笑む
「あぁ、ただいま…母上はいるかい?」
第二王子も一緒だ
「アルス様!?」
傷だらけのアルス、うるさいと言わんばかりの目。
「あら、おかえりなさい。騒がしいから見に来たの…どうしたの?アルス」
アルスはリヴァの声を聞くと怯えたように震え始める。
「(治しておけと言ったのに…)」
ラインハルトがそう思うと母の冷たい目がアルスを見つめている。
「は、母上…これは…っ」
「違うんすよ〜母上、
「あら、そうなの?程々にね?」
アルスが何をそんなに恐れているのか他の兄弟達には分からなかった。
「お前ほんと、母上苦手だよなあ」
「お前とはなんだ…俺は一応…兄だぞ」
ラインハルトは自分の背丈より大きい杖を持ち歩いている。
アルスは父と似たような格好で廊下を歩く。
ユーリは軽装だ。
上の兄二人は毎日のように鍛錬をしている、それに比べてユーリは何もしない、それを眺めているだけ。
「下手したら死ぬじゃん…やだよそんなの」
そんなのが口癖なのは母と父のせい。
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