1冊の本 ページ9
「あぁ、そうか…」
アレフも見覚えがある様だった
床に落ちているのは一冊の本…
ページを徐に捲ると
「これ何語？」
読めない そもそも文字なのかどうか…
塔の上から歌が微かに聴こえる
「こっち…？」
導かれる様に歩く
暫く歩くと大きな広間に出る
空の上にある様な屋根が無い部屋
「ようこそ〜待ってたよ！」
夢の中であった少女…
「貴女…」
「なんだ？どうなってる！？」
アレフの声、後ろを振り向いてアレフを確認すると
死体になる前のアレフの姿…違う、アレフは私を見て驚いている？
頭に浮かんだ三日月型のサークレット 龍の翼…
「此処は真実を映し出すんだ、あんまり長くいると現実にも影響が出るから 無駄話は出来ないよ」
少女は静かに語りかける
「何しに来たの？ルカに言われたの？」
父を知っているようだった
「会いに行けと、それだけ…」
「それだけかぁ…それだけじゃわかりずらいな…」
「すまない、質問いいか？」
アレフが手を上げる
「うん、いいよ」
少女はそれに応え
「現実に影響があると言ったな、具体的にどんな影響があるんだ？」
「さぁ、わかんない…私ここから出たことないもん…」
「…何しに来たのかしら…本当」
蒼剣が目に入る
「待って！？それは私のと同じ？」
「違うよ、君のはもう折れちゃったじゃない」
これは、と少女は柄を持つ
「これはね、リヴィアだよ」
剣を大事に抱きしめる少女…
「そう…あの人なんだ」
何故か分かっていた あの子はリヴィアのマスターで
「リヴァは今幸せ？」
少女は何気に問う
「えぇ、幸せ、」
「なら、何も変える必要ない？あの物語はもういらない？」
あの物語…懐かしい本だ
始まりと終わりのページしかない本
私は静かに頷く
「わかった、万象は此処に集結し 未来は不確定となった…彼らはもう自由だ」
本は燃えて灰になる
「良かったね、リヴィア…｣
「ねぇ、貴女の名前…何ていうの？」
「私？私はね…シズっていうの」
「リヴァ、もう行こう」
アレフが呼ぶ
「ねぇ！リヴァ」
シズが笑う
「もう、ひとりじゃないね！大丈夫だね！」
嬉しそうだ
「うん、そう…そうだね」
蒼い剣と魔剣のコアを私から取り除くと
「生きて！未来を見るの！」
私は嬉しくなった
ずっとこの世界に居場所が欲しかった
その一言で生きててもいいんだ…と
本当に自信を持てたんだ
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作者名：夢無 | 作成日時：2017年6月16日 5時
