めも ページ1
そういってまた歩き始める
不意にすれ違いぶつかる
「おや、ごめん」
「大丈夫よ、見てなかったのは私だから」
軽く会釈する この龍は不気味だと
「魔王の部屋に行くのかい?」
一本角が耳の上あたりに生えている龍は笑いながら
「えぇ、丁度よかったわ 案内して下さる?」
本当に、丁度良かった
「そうだね、いいよ」
少し考えてからの発言と思えた
「でも、案内する必要は無いと思うなぁ 血が教えてくれる」
そういって龍は歩いて行ってしまった
「リヴァ…?」
無言で歩く 理解出来た そういう事ね
「…ここね」
立ち止まったのは白い扉の前
二回ノックして返事を待つ
「いいよ、入れ」
ルカの声だ 間違いない
「失礼するわ」
ルカは少し驚いた様にけれど笑って
「待ってたよ、だけど ごめん…時間が無いんだ手短に」
聞きたいことは沢山あった…けど
「じゃあ、二つだけ」
「なんだい?」
「貴方が父だというのなら…母は何処?」
応えられるはずだ、難しい問ではない
「君達を産んだ際 命を落としてしまった」
「あと一つはお願い事、叶えてくれるなんて思っちゃいないけど…私を常界に返して」
リヴァとルカはお互いを見やると
ルカが笑って
「リヴァ…廊下で男とすれ違った?」
と聞く
「?えぇ、すれ違ったわ」
「…中々、どうして…俺の邪魔をするのかなぁ…まあいいや、此処の空気は彼には合わないみたいだ…」
「どういうこと…?」
我慢していたのだろうシルヴァが苦しそうにその場に座る
「何?!何したの!?」
「何もしてないよ、俺はね」
君の者に手を出すわけが無い…とルカは心配そうに
「な、なんでしょう…?」
何がどうなっているのか…分からないという顔をするシルヴァ
「異世界の空気が合わないのは仕方ない事だよ」
ルカがシルヴァの腕を持って立たせる
「いいよ、事情が変わった…リヴァが帰りそうにないとこの子も帰りそうにないからね」
あっさり…シルヴァは今にも意識が飛びそうだ
ルカはシルヴァをリヴァに投げる
「リヴァ、君が俺の娘っていうのは本当だよ、じゃなきゃ俺は君を殺してる」
言葉に寂しさを含んだ言い方
「近いうちに、リヴァ 君に会いに行くよ」
そういってルカは 二人を転移させた
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作者名:夢無 | 作成日時:2017年6月16日 5時