二百六十六番星 ページ36
ふわふわとした意識の中、私は二つの影を見つめていた。
髪の長い、まるで蝶のような女の影。
細身で、飄々とした雰囲気を纏う男の影。
安心する。
不思議な感覚に陥る。
「A、貴女はそっちで幸せ?」
『そっち、?お前は一体…』
「質問に答えなよA。
キミは、彼らと離れて幸せなの?」
だだっ広い空間に反響する声。
その声も、もやがかかったようにはっきりしない。
『彼らって、メリオダス達の事か?
そんなん、幸せ…
・
・
な、わけ……ないだろ…?』
何を言ってるんだ?
私は、そんな事言おうとしてない。
勝手に口が動いて、言葉が零れ出てくる。
「やっぱり!Aはいっつもそうなんだから。
皆のこと大好きだもんね〜?
でも、大切にしすぎて自分の気持ちに蓋をしちゃってる」
ふわりと頭を撫でられる。
何だろう、とても暖かく感じる。
「ホント、そーゆーとこ馬鹿だよねぇ。
離れてちゃ守れないよ。
キミが言ったんじゃないか。武器を捨てたら、守りたいものも守れないって」
ペシッと額を弾かれる。
何故だろう、とても心地よい気がする。
『私は…皆と一緒に、居たい……?』
震える声で、自分の意思で言葉を発する。
目の前の二人が、くすりと笑うのがわかった。
「なんで疑問形なの。
一瞬でもそう感じたなら、そうなんだろ」
「ほら、自分に聞いて?
自分が一番したいことは何なのか」
私が一番したいこと。
一番愛おしいこと。
一番欠けていたこと。
一番、手放したくないこと。
『皆と、また旅がしたいっ……』
「「よく言えました」」
その言葉と同時に、私は落ちていった。
謎の浮遊感。
……鳴呼、なんだか懐かしい。
「大丈夫。キミの気持ちは伝わってるから。
元気でやれよ、ボクの
「私達はこっちで上手くやってるから、心配しなくても平気だからね。
大好きよ〜A♪」
・
・
『はっ、はっ、はぁ………』
ふかふかのベッド。
左腕から繋がれた点滴に、柔らかい寝巻き。
………生きてる。
『なんで…………
なんで、泣いてるんだ』
答えなんて、分かりきっているのに。
頬に伝う涙を拭い、微笑みながらそう呟いた。
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ミルクレープ(プロフ) - 天霧さん» ありがとうございます!受験が近いので低浮上気味ですが、少しずつ更新して行けるように頑張ります!! (2021年12月29日 12時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - とても面白かったです。続きがとても気になります。更新待ってます! (2021年12月26日 8時) (レス) @page38 id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - こはねさん» ロータスぅぅ!!しかしながら、お話がもう少し進めば再登場します!どんな形なのかはまだ秘密ですが…🤫 推しでしたか!嬉しいです、ありがとうございます☺️ (2021年11月19日 17時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
こはね - ロータスッッ!!私の推しがッッ!!!、 (2021年11月18日 21時) (レス) @page29 id: b4a9ddf842 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクレープ(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます!嬉しいです✨ 更新頑張ります! (2021年11月15日 14時) (レス) id: fa8d766c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミルクレープ | 作成日時:2021年9月25日 17時