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急かされながら着替えた私は、履きなれないピンヒールを履いて外へ出た。
「あれ、風磨...?」
そこには風磨の姿は無く、どこに行ったのかと電話を掛けようとした。
「Aちゃん!こっち!」
そこには、いい意味で目立つ外車の助手席に乗るマリウスさんが居た。
「風磨くんが居るとこまで送ってく!僕のSPが!」
「SP...」
スーツを着て、インカムらしきものを付け、夜でもサングラスを掛けている姿からして、絵に描いたようなSPさんだ。
「なんか...凄いね...」
「そうかな?」
律儀に車のドアを開けてくれて、マリウスさんも後ろの席へと移動してきた。
行き先までどのくらいの時間が掛かったかは分からなかったけど、マリウスさんから聞く風磨の話が楽しくて、あっという間に着いてしまった。
「今日はありがとうございました。」
「いえいえ!僕も楽しかったし。またお店遊びに来てね。」
「あ、えっと...働き始めてお金が入れば...」
「ははっ、そんな硬くならなくていいよ!お話しするだけでも来て。」
「はい。ありがとうございます。」
パタン、とドアが閉まり、車が見えなくなるまで見送った。
"僕がドイツから日本に来た時、日本語が上手く話せない僕をみんなは少し離れて見てたのに、風磨くんだけは最初からずっとあんな感じだったんだよね。それが、嬉しかった。"
そう言ったマリウスさんの顔が、声が、本気で風磨を慕っているようだった。
やっぱり風磨は、優しくて、誰とでも仲良くなれる、自慢の彼氏だ。
「彼氏...ふふっ。」
風磨の周りの人達からはあまり話を聞かないから、貴重なお話が聞けて大満足だ。
"今日、きっとAちゃんは風磨くんに惚れ直すよ。"
なんて、マリウスさんが最後に言っていたけれど、もう既に、惚れ直してしまってる。
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作者名:はる | 作成日時:2018年3月3日 19時