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Kento









風磨と会話を交わさないまま、1年が経った。









「アンタが中島健人?」









新学期が始まり、新授業である心理学の教室で、1人講義が始まるのを待って居た時、やたらと威勢の良い女が俺の目の前に立っていた。

綺麗に染められたグレーアッシュの髪は胸元まであり、丁寧に巻かれていた。

メイクも程良く濃くて、あぁ、男が好きそうだなぁ〜って感じ。









「そうですけど、何か?」

「菊池風磨と知り合い?」

「まぁ、幼馴染ですけど。」









腕を組みながら話すその女に、俺は苛立ちを感じ始めていた。









「アイツさ、超腹立つくない?」

「はぁ。」









と、同時に、その勢いに負け始めてもいた。









「一発殴りたいっていうかさ〜。分かる?」

「あの〜、」

「ん?」

「どちら様ですか?」









俺の1番聞きたかった質問に、彼女は一瞬きょとんとした。









「あ、そっか。私は橘レイカ。2年です。すみません、名前も名乗らずに...」

「いえいえ。あ、俺は中島健人です。3年。」

「えっ!嘘!年上?!」









"風磨と幼馴染っていうから同い年だと思った..." なんて頭を抱える彼女に、少し笑ってしまった。









「ちょっと、笑わないでよ。こっちは真剣なの。」

「あぁ、ごめんごめん。」









彼女は俺の隣に座って、少し談笑した頃、前に影ができ、人が立った事が分かった。









「どういう関係?」









久しぶりに聞いた声に、不意にもキュンとしてしまった。

襟足を切り、アッシュに染め上げられた彼の髪は、とても綺麗で、暫く見惚れてしまった。









「アンタを 殺 す 計画練ってんの。」

「お前はともかく中島はそんな事しねぇ。」









久しぶりに呼ばれた自分の名前に、また胸の糸をギュッと締めた。









「分かんないよ〜?割と意気投合してるし。」

「あの、2人はどういう...?」

「俺とレイカ?」

「コイツから誘ってきて1回寝て捨てられたの。だから 殺 そ う と思って。」









それは随分安易な動機だね。









.

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作者名:はる | 作成日時:2018年3月3日 19時

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