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Kento
「でも中島くんはクールっていうか...ちょっと近寄り難い...よね。」
おい、聞こえてるぞそこの女子。
「じゃ、また放課後ね〜。」
「おう。」
教室を出て行く風磨に手を振って、自分もトイレへ行こうと立ち上がった。
「なんかね...高嶺の花、って感じ。」
教室を出る瞬間、聞こえて来たその言葉。
バーカ。俺が高嶺の花だと?
トイレに着き、個室のドアを閉めた瞬間、俺は崩れ落ちた。
(今日の風磨も嘘みたいにイケメンっ、!!)
誰も見ているはずないのに赤くなったであろう自分の顔を両手で覆う。
(完璧!100点!立ってるだけでセクシーとかありなのか?!あ〜、好きだ。触りたいキスしたい!)
暴れそうになるのを必死に堪え、沸くだけ沸いた後、ふと冷静に戻る。
「気持ち悪いよな...」
"幼馴染"として過ごしてきた17年間、恋してからの4年。
その前の13年間はどうやって風磨に接してた?なんて考える程に俺の態度は変わったと思う。
下手に話せば好きなのがバレてしまいそうだから口数は減った。
でも風磨はそれに構わず話しかけてくるし。
「おーい、中島帰ろ〜。」
「風磨、お前そういや彼女はどうした?」
「別れた。」
「今月何回目だよ。」
「んー?知らね。」
風磨は高校に入ってまだ数ヶ月だというのに、毎月毎週毎日のように女が変わる。
だから俺も名前を覚えるのが面倒になり、もはや聞きもしなくなった。
「お前いつか刺されるぞ。」
「だってあいつと セ ッ ク ス しても全然つまんねぇの。」
いっそ刺してやろうか。
そう呑気に欠伸をする風磨に心の中で悪態を吐いた。
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作者名:はる | 作成日時:2018年3月3日 19時