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葬式が終わって、家に帰って来た。
実家に帰ろうかとも悩んだけど、少し、1人になりたかった。
真っ暗な部屋で、1人。
ソファーに座り、ぼーっとついてもいないテレビを眺めた。
小さい頃、よく姉も一緒に戦隊ものを見て、いつもいつも悪役をやらされてたなぁ。とか、
運動会のリレーでアンカーを任されて、最下位だったのに前の子を全員ごぼう抜きして一位とってたなぁ。とか。
...中学の卒業式の答辞、任されたって喜んでたっけ。
弟は、昔から目立つことは好きじゃないのに、大役を任せられる事が多かった。
私なんかより、よっぽど日の当たる生活だったはずなのに。
どうして。
やっと現実味を帯びてきた事実に、涙が溢れた。
ここへきて、やっと流れた。
そんな時、携帯が鳴った。
ディスプレイには、"菊池風磨" の文字。
こんな泣いたの丸分かりな声で、出れるわけ無いじゃない。
弱いところを、見られたくない。
それでも、鳴っては切れて、鳴っては切れてを繰り返す着信音に、だんだんと腹が立った。
「あー、もう!」
半ば投げやりで電話に出ると、相変わらず腹が立つ愉快な声が聞こえてきた。
「あー、もしもし?Aちゃん?」
「何の用?」
「今日もご機嫌斜めなの?まぁいいや、今から家に行ってもいい?」
ダメだ。今日だけは、絶対にダメだ。
「嫌。」
「...Aちゃん?」
声が、少しだけ震えた。
バレた?...いや、そんなに敏感な奴じゃないから大丈夫だろう。
「とにかく、今日はダメだから。絶対来ないで。」
何か聞こえた気がしたけれど、強制的に電話を切った。
これじゃかえって怪しいじゃないか。
数分後、インターホンの音が聞こえた。
誰が来たかなんて、出なくても分かる。
無視だ。今こんな状況で出れるわけがない。
電話も掛かってくるけど、無視。
会えるわけがない。こんな状態で。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時