忘れられないほどに【東京卍リベンジャーズ】

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そのままの流れで2人は夜ご飯も食べていくことに



アパートにしてはだいぶ広めの1LDK


2人はリビングでテレビを見てくつろいでいて、昔から変わらないなあと少しだけ嬉しくなる


トントンと私が野菜を切るリズムと2人の談笑が聞こえる




万次郎は昔から人と距離を縮めるのが上手い


あれだけ会いたくなかったのに、気づけば今日みたいに人の心に土足で上がり込む



嫌だと心が言っているのに、気づけばこじ開けて




お兄さんにそっくりな瞳で




笑って…










・・・








｢これ…｣


Aがキッチンへ料理を作りに行ったのを見計らってトイレに行く素振りをしながらAの部屋に入る




兄貴との思い出が沢山詰まってる




見ただけでわかる。




兄貴から貰ったもの、兄貴がずっと持ってたもの



リビングとかはあれだけ統一されてた系統が、Aの部屋はゴチャゴチャになっている。




部屋に似合わないバイクの模型がいくつも飾られて、



｢兄貴が1番大切にしてたやつ…｣



ホコリひとつ被っていない




兄貴が小さい頃、Aと俺にくれたダッサいおもちゃも汚れひとつない



この部屋は兄貴で溢れ返ってる






勝手に人の部屋をじっくり見回すなんてヤバいやつかもしれないけど、そんなの気にしない



ゆっくりと見ていけば、可愛らしい写真立てが複数並んでいた



兄貴と、Aと、エマに圭介…そして俺




道場で満面の笑みで写る写真を見るだけで無性に心が苦しくなる



他には友達と撮ったであろう写真があって、最後に


兄貴とAがりんご飴片手に写っている写真




その一瞬だけでも、あぁ、俺には入る隙間もないなって痛感させられる




俺にはAをあんな幸せな顔にできない






ほんのり赤い頬に今よりあどけない表情




あぁ、Aが兄貴をずっと追っかけてたみたいに





俺もずっとAを追いかけてる






俺はここにいるのに、






兄貴はズリいよ






もう居ないくせに、心の中独り占めにして





昔も、今もずっと兄貴には追いつけない






『何してるの』



女の子の部屋に勝手に入っちゃダメでしょ、なんて少し冗談を言う





｢まだ、いないやつのこと追いかけてんの｣



『へ…？』



｢バカみてぇ…もう手が届かねぇってわかってんのに、いつまでも掴もうと必死で、他人に迷惑かけて、｣



そう、ずっと迷惑かけっぱなしなのは俺だよ




Aが振り向かないってわかってるのに、いつまでもあとを追いかけてんのは俺だよ…

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