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八重は新しい鏡台を出し、少し掃除をしてくれた後、


八「…また呼んでください。」


とだけ言って姿を消した。



彼女がいなくなると、部屋が一気に暗く感じた。






おそらく同じ年ごろの女の子。


誰とも会えない、話せないこの部屋。


八重の存在は私の中の支えになった。



初めて会ったはずなのに、どこかで会ったことがあるような懐かしさがあった。


そして、二時間程話したからだろうか。

彼女が本当はとても照れ屋で、恥ずかしいから表情を崩さないのだわかった。





彼女もヒトを喰うのか…。

喰っていなかったらここにいないはずだから、当たり前か…。





血の味を思い出す。


あの甘美な味には、理性を失ってしまいそうになる。


あの後、あんなにも血を求めてしまった自分が怖くかった。


私はもう鬼として生きるしかないの…?


だったら死んだ方がましなのに。


死にたくても、傷はすぐ治ってしまうこの身体。


かんざしで喉を刺しても、痛くもなんともなかった。






血鬼術。



私にそれが使えるとしたら。


私のそれが攻撃性のあるものなら。




自分で自分の事を殺すことはできるだろうか。


地獄に堕ちることはできるだろうか。



八重は、人間を喰えば喰うほど鬼は強くなり、血鬼術も使えるようになると言っていた。


また、強い憎しみや怒り、願いの気持ちによって血鬼術に目覚める者もいると言っていた。




八重に先程新しく出してもらった鏡台の前に座り、自分の顔を見る。



「…もう地獄へ早く言ってしまいたいの。」




その時だった。


どこかで声が聞こえた。



部屋の外から?


いや、これは違う。



私の中で聞こえているのだ。



それと同時に、私の体験したことのないはずの景色が見える。


これは記憶…?







私の着ている着物と同じ物を着ている綺麗な黒髪の女の人。



心なしか、顔が似ている気がする。





その隣には無惨がいた。





そして、無惨は女の人の名を呼んだ。









“椿”









と。

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HARu(プロフ) - Ωさん» 申し訳ございませんが、現在リクエストは受け付けておりません…。リクエストは受け付けられませんが、今後もよろしければこの作品を読んで頂けると嬉しいです! (2020年5月9日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みるく餅(プロフ) - Ωさん» まずリクエスト受け付けて頂けるか聞くのが先ではありませんか? (2020年5月9日 20時) (レス) id: bf52b07c83 (このIDを非表示/違反報告)
Ω - 鬼舞辻無惨様が夢主を溺愛してる話と鬼舞辻無惨様が夢主の信者みたいになって夢主の言う事だけは聞く話見たいです他の鬼殺隊や鬼達には原作通りで無惨様は日光も克服してる少量の血を飲むだけで良い設定で (2020年5月9日 20時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
HARu(プロフ) - 神楽 林檎さん» 神楽さん!ありがとうございます!私のいろんな作品にコメントしてくださっていますよね?本当にありがとうございます!中々更新頻度が少なく申し訳ございません。高頻度で更新できるように頑張ります!今後もよろしくお願いします! (2020年5月9日 1時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 林檎 - 更新頑張って下さい!応援してます!! (2020年5月8日 21時) (レス) id: a7e0927490 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HARu | 作成日時:2019年12月30日 23時

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