第四羽 ページ7
「…ヨハン、俺は…どうすればいいだろうか」
「…知らないよ、そんなの｣
「分が悪い」
覚束無い足で、帰路を歩く
気持ち悪い、貧血で視界が狭い
涙で前が見えない
忌み子だから、幸せになってはいけないのだとそう思い込んでいた、だけどチラついた希望に手を伸ばす事をやめることも出来ないで…
「死ねば…楽になるかな…」
あぁ、ダメだ死ねない、怖い、消えるのが怖い
名前がある限り生きていなければならない…
「嫌だなあ、名前があるだけで…負け者じゃないか…」
道に座る
ただ、抱きしめて欲しかった、ゴメンと一言、それだけで救われる気がしたのに。
「なんで言ってくれないのさ…」
知らぬ間に刀を握っていた、
知らぬ間に人が倒れていた
知らぬ間に…心は晴れていた
なんだ、こんなに簡単だったんだ、
どうして？こんなに簡単なことができなかったんだろう
ただ、目の前のモノを斬ればいい
悪を粛清すればいい
そこに立っているのは…誰？
「クロハ？お前。クロハなのか…？」
「違ウヨ…チガう…」
わからない、ワカラナイ…
黒いコートに赤いライン…赤い軍帽…
「イヤだ…嫌ダ…コナイデヨ…来ルナ」
自分に角があるのが分かった…
どうしてこんな姿になってしまったんだろう…
「俺のせいなんだよな…」
「アナタ…だれ」
泣き叫んでいる心が居る、
血反吐を吐いている心が有る
歓喜に震える心が死ぬ
「ソウ、敵…テキ…？テキか…ウン、ワカッタ、キルヨ、イラナイ捨テル」
斬り掛かる 鋼の骸が剣先を火花を散らしながら空中で留める
「殺してでも止める…、俺はお前に謝りたい」
馬鹿力のように重い一撃を
軽い体でどういう風に放っているのか想像出来ないほど、動きが早い
「シンデ、キエテ…」
「一緒に帰るぞ！」
「コナイデヨッ！！！！」
咆哮の様な攻撃を骸は防ぐ
「もうやめろ！クロハ！このままだとお前が死んでしまう！｣
悲願だろうか、彼の声は泣いているように聞こえる、
死ぬ？誰が？どうやって？
誰のせいで？
そんな考える機能がクロハには残っていない
「第六結石…流石…沈下…デフログを解放…？」
クロハの持つ刀が音声を発生させる…と同時にクロハの腕が血を吹く…
クロハは倒れてしまった、何も言わない
「死んだ…か？」
ダンテは安堵する、気絶しているだけのようだ
クロハの体は軽くなっていた
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