第三羽 ページ5
「試験と仕事」
軍服に袖を通すと鏡を見る、我ながら似合わないなぁと笑いながら…不思議と体が軽い、今日は少し調子がいいみたいだ。
そんなことを思いながらダンテを起こしに行く
「ダーンテ！起きろー！朝だよぉー！」
「もう起きてる」
横になっていただけなのだろう…いつものダンテの窶れている顔だ。
「なんだ、つまんない…」
「今日は試験だろ、俺に構ってる暇あるのか？」
「今何時だと思ってるの？」
ダンテは時計を見る。
「まだ夜中じゃないか！ふざけるな！」
そう、夜中なのだ…良い子は寝る時間…
「そりゃ、もちのろん！ダンテ様と寝る為ですよ！目的は夜這い！」
ダンテはとてつもない細い目でクロハを見る、冗談だとバレている…
「横になるだけで寝る奴が何を抜かしているのか、説明を願おうか」
「ソワソワして眠れないんだよォ！遊べ」
今にも怒りが頂点に達しそうなダンテは眉間を指で抑える。
「いいか？遠足前の子供じゃないんだ…大人しく寝ろ、そして朝にその元気を使え、いいな？」
「緊張して眠れないの！」
ダンテは疑問に満ちた顔をする、そりゃそうだ私だって緊張するのは初めてだ。
「そうならそうといえ…」
そう言っていたつもりなのだが…
「どーしよう！ヘマしたらあ！」
大丈夫だと笑うダンテをクロハは少し不貞腐れて…
「お前なら出来るさ」
その一言、その言葉でなんでも出来る気がした。
試験当日。
結果はまぁ、合格…
及第点かな。
「それにしても、あの力は何だったんだろう…？」
試験最中、目隠しが外れた瞬間、物が斬れる場所が解った…
「えーっと、取り敢えず…隊室に行こうかな」
ダンテと違う部隊なのは残念だけど、今は強くなりたい。
ツカツカと長い廊下を歩く。何故か試験が終わった時に貰った二本の刀を魔法とやらで小さくして腰につけて…。
「失礼します…？」
あれ、誰もいない？
部屋の中は本が積まれている。
そればかりか料理の本だったり、キマイラの図鑑だったり、標本だったり…
「ごめーん！ちょっと本退かしてくれるかなあ！見えなくて！」
声がする方の本を上から棚に片付ける…
「あっ、見えた」
元気？と手を上げるヨハンさん…
「えぇ、と…元気です…？」
なんとなく、その言葉を発した。
「突然だけど、任務に行ってもらおうかな」
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