黒翼の日記 (ページ14)

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第十一羽ページ14

「ごめん！コヨミ！」
「まぁ仕方ないですよ、ママもお仕事ですし…」
「突然の出張！恨むならダンテを恨んで！！｣
なんとクロハは軍事命令で国の中を回ることになってしまったのです。
「ダンテさんも行くのですか…？」
「ああ、そうだ」
戦うこともあるだろうし子供は着いてくるなと言うものだろう。
「私はコヨミを連れて行きます！！」
「あぁ、人工天使なら役に立つだろうな」
戦闘特化の人工天使ならまだしも刻限の役割を持った天使の私が使い物になるのかどうかはさておき。
「ママの役に立てるなら着いていきます」

ダンテは初めてあったあの古城には住んでいない、あの古城は実家の様なものであって家ではないらしい、職場に近いマンションを買って住んでいる…。
あんな山奥にある古城など捨ててしまいたいと言っていた。
「列車、初めて乗ります…」
リズムよく揺れる列車、クロハとダンテは向かいの席に座っている。
「そうだね、私も初めて」
クロハも移動といえば徒歩しか思いつかなかった。
「流石に次の街まで距離があるからな、着くのは夜か…」
「お土産売り場があるらしいよ、コヨミ」
「お土産…？」
「見に行ってみようか」
コヨミはダンテの顔を見る…
「行ってこい、無駄な買い物はするなよ」
「キーホルダーくらいなら大丈夫でしょ？」
「あぁ、そうだな」
「よし、じゃあ行こうかコヨミ」
「はい！」
手を繋いでお土産売り場まで歩く。
ヨハンの口癖を思い出した。
『人は何時から自分という人格を持ってそれを自分と呼び始めるのだろうね』
タチの悪い哲学、考えたらキリがないようなそれを何故か思い出した。
空っぽのクロハは今一生懸命、自分を探しているのかもしれないなと思ったからだろうか…。

「ママ、変です…この列車誰もいません」
クロハは真剣な顔をしている。
「そうだね、ここに来るまでに席に誰一人座っていなかったし…誰ともすれ違わなかった」
コヨミは透視する、何かしらの生命反応が出ればと。
「……もう少し遠くまで見てみます。」
人が集まっているような…そんな反応が出る。
「コヨミ、ダンテ呼んできて…｣
「わかりました」

何かに見られているような感じがする。