蒼剣【創作】1 (ページ37)

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夕日ページ37

夕日が見えた
帰り際好きな人と一度は見たいと誰もが思う夕日

「何か悲しいことがあったんですか？」

不意に隣を見ると好きな人が泣いていた
声もなくただ夕日をじっと見て

「ただ、綺麗だと思ったから…｣

確かに泣ける程の赤だ

「明日は晴れですね…きっと」

「ずっとそばに居たい

僕の時が止まればいいのに

そしたら

君が独りで悲しむことも無いのに｣

ってあ…

「声に出てた…」

でも、少女には聞こえない

いや、聞こえてたとしても

少女は聞こえないふりをするだろう

「…ねぇ、シルヴァ」

少女は僕の名前を呼んで

僕は一言返事をする

「運命って…信じる？」

運命か…

「信じたいです、だって…貴女と逢えたんですから」

右手を繋いで同じ景色をみている

それだけで幸せだ

僕はこの人が好きだ

強くて皆から愛されていてでも本当は泣き虫で
独りぼっちが嫌いでこの人の手が汚れていても
僕は

「貴女が好きです」

笑ってる顔も怒ってる顔も泣いてる顔も全部

僕がこの人の傍にいる理由はそれだけで充分だ

一国の姫とその従者、

「私も…シルヴァが好きよ」

きっと、僕の好きとこの人の好きは違うのだろう

「友達とか…そんなのじゃなくて…もっと特別な…好き」

「あ…」

言葉が出なかった

「シルヴァ、あのね｣

「はい、なんですか？」

顔を合わせる

「なんでもない」

その日を境に

リヴァは何処かへと消えてしまった