名前で呼んで ページ45
「いやーやっと終わったよテスト！
今回はみんなのおかげで赤点回避できそうだよ。
ほんっとにありがとう」
「よかったよかった。
来週はクラスマッチもあるから、楽しみだね」
「Aちゃんは何するの？」
「私はバスケだよ」
「Aちゃんバスケできるの！？」
「うん、中学校のころバスケ部だったからね」
「え、まじか,,,初耳だよそれ」
あれ、言ってなかったっけ,,,？
まあいいか。
それよりさ、田中くんが普通に接してくれるから
いつも通りに戻っちゃってたけれど
はっきりしないといけないよね。
「田中くん、あのね」
「田中くんの気持ちには応えられない。
ごめんなさい。」
「,,,わかってたよ、だから、謝んなよ」
そう言いながら、悲しそうな顔を隠す田中くん。
「,,,ごめん」
「あーもう、これキリないね？
じゃあさ、じゅったんへこんでるから
１つだけお願い聞いてくれる？」
「私が叶えられることなら」
私がそう言うと、田中くんはこちらへやってきて
「その田中くんってやつやめれる？
名前で呼んでよ。あ、じゅったんでもいいよ？」
私の顔を覗き込みながらそう言った。
「,,,たなかじゅり」
「え、何でフルネーム？」
「田中くんは田中くんだから,,,」
するとほっぺたを掴まれた
「もう俺、樹って呼ばれるまでこの手離さないかんな」
そう言ったあと、目かっぴらいて口元は笑った
なんとも不気味な笑顔でこっちを見つめてきた。
「,,,樹、くん」
すると満足気に笑った田中くんは
「また田中くんって呼んだら同じことするからね」
そう言って、また前を向いて歩き出した。
ほんの少しだけ、耳が赤かったのは
気のせいなのかもしれない。
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作者名：はりのこ | 作成日時：2022年6月22日 22時
